教えてよ、東雲さん!
雨宮 徹
教えてよ、東雲さん!
真がペアを組んだのは
「今日はここまで。次の授業では風景画を描いてもらいます」
やっと天田から解放される。別に天田が嫌いなわけではないが、美術の授業で一緒になるのはごめんだった。
イスから立ち上がった時だった。天田が絵に何かを書いているのを見たのは。
「天田、どうした?」
「いや、自分が描いた絵だと分かるようにサインしてるんだ。サインするだけで、プロの気分も味わえるしね」
なるほど。真は思った。天田がプロになったら、この絵は高値がつくだろうな、と。たぶん、天田にそんな考えはないだろうけれど。
「でも、それってサインと言えるのか? いたずら書きにしか見えないけど」
真が目にしたのは「!O」という文字だった。
「いたずら書き? いや、立派なサインさ!」
「じゃあ、そのサインの意味を教えてくれよ」
「それはしたくないかな。自分だけの秘密にしたいというか。でも……
よし、東雲に解いてもらおう。サインの秘密を。
「ふーん。面白いじゃない」
事情を話して1分も経っていないのに、解けたのか。さすがクラス一のミステリーオタクだ。
「で、どういう意味なんだ?」
「真は『!』の名前、知ってるわよね?」
「バカにするなよ。びっくりマークとかエクスクラメーションマーク、あとは感嘆符ともいうな」
「そうね。でも、もう1つの名前があるの。『雨だれ』よ」
「へえー、そうなんだ。でも、それとサインは関係ないと思うけど」
「単体じゃダメよ。『O』と続けて読むのよ。『アマダレオ』。つまり、
教えてよ、東雲さん! 雨宮 徹 @AmemiyaTooru1993
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