真言使いとなった私が魚人との戦いの中心です
菊武
第1話
車内は緊張感に包まれていた。
「頼む。間に合ってくれ。」
そう言いながら運転席に座る筋肉隆々とした男がアクセルを踏み込んだ。この男の名は
「次の信号を右に!」
女性の名は
「もうすぐ着くから。」
車をとばして必死になっているのには理由がある。彼等が向かう先である漁港。そこでは馬場の仲間である自衛隊員が敵と交戦中なのである。敵とは海から現れた魚人。見た目は人のサイズ程の魚なのだが、尾の部分が二股に別れ2足歩行を可能としている。更にはヒレが進化したのであろうか、ヒレの部分からは手が生えていた。そして2足歩行をする為なのだろう。頭の部分が人のように自在に動かせるようになっていた。
そんな魚人が漁港に現れそこを調査していた自衛隊員が交戦する事態となっていたのだ。
装備では自衛隊が負ける要素は無い。しかし身体能力では魚人は人間を遥かに凌駕していた。銃で遠距離で戦えているのなら良いのだが、弾切れや何かの要因で近距離での戦闘となると勝てる見込みは無いに等しい。
「見えた!」
漁港の入り口、防水扉の前に隊員が陣取っているのが見えた。
「馬場さん!奥から魚人が来てるよ!」
「このまま突っ込むぞ!車を盾にする!」
「それなら私が壁を作るよ!」
「出来るのか?」
「出来る!やってみせるよ。」
「分かった。なら車を隊員達の前に横付けるから直ぐに壁を作ってくれ!」
「分かった!」
距離が近づく。隊員達に避けて貰う為にもクラクションを鳴らしてこちらの存在に気付かせる。思惑は成功だ。隊員達が車を避けるように動くのが分かった。ブレーキを踏み込みスライドさせるように隊員達の前へ車を横付けさせると、助手席のドアが開き中から朱音が飛び出し叫ぶ。
〔地面よ盛り上がり壁となれ〕
聞いた事の無い言葉が聞こえた。なのに意味が分かる。車と魚人の間のアスファルトが盛り上がり壁が出来上がった。目の前の光景に隊員達が驚きを隠せない。
「これが
真言と呼ばれる力を行使し隊員達を助けに来た私、天王寺朱音はついこの前までは只の一般人だった。この力を使えるようになったキッカケ、それは1冊の本との出会いであった。
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