第1の時代【楽園と深淵の物語】

ねじまき式観測隊

神話の物語

 未だこの世界が生命何一つ咲かぬ荒れ果てた大地だけだった時。《無の荒野の時代》の物語……。

 そこには溶かされた今にも形を失いそうな生命があった。それは荒野を彷徨い空虚な廃墟に身を寄せ合い、融合し分裂し、冷たく痛々しい雨に震えていた。生きているのか死んでいるのか分からぬその存在。罪無き罪人達。ただ、精神は磨耗しているのは確かに分かった。

 烏合の彼らを率いる者が居た。その者は美しくとも残酷で底の見えない黒い瞳を持ち空より暗い黒い髪の毛を揺らしていた。その者の引導の元、彼らは荒野を彷徨う。虚に意味の無い言葉を発しながら彷徨う。

 

 そんな荒野に宙から光が落ちてくる。それは神の光。神の恩恵。その神の名は《天地開闢の神デミウルゴス》

 彼は荒野を彷徨う罪人達を《深淵》へと追放し、慈悲の光を大地に齎した。空は蒼く輝きて大地は緑に溢れる。水は流れ風はそれらを揺らす。

 天地開闢の神であるデミウルゴスはそれらの管理人として自身の血肉を利用して神々を生み出した。これを《神話の時代》と後の人は語らう。

 

 自身の心臓で太陽の神アポロンを。自身の左目で月の三姉妹である長女・アルテミス。次女・セレーネー。三女・ヘカテーを。自身の両足で大地の神ガイアを。自身の右目で風の神アネモイを。自身の血液で海原の神ポセイドンを。自身の左目の涙で水の神オケアノスを。自身の左腕で火の神へファイトストスを。

 デミウルゴスは命じた。『世界を守り生命達の良き守護者となれ』

 その後、デミウルゴスは生命を大地を生み出し彼らに使命を与え大地を託した。そうして天地開闢の神デミウルゴスの身体は大地で永遠の眠りを始めた。その過程でも神が生まれたそうだが、また別の話だ。

1つは歴史を紡ぎ詩い継ぐ使命を負った人間。2つは永遠の年月を生き全てを見届ける使命を負った精霊。3つは深淵の門の門番をし大地を守る使命を負った龍。

 時代が降るにつれ精霊の存在は認知されなくなり、代わりにエルフという種族が生まれ、龍は深淵の力によって滅ぼされバラバラになり様々な動物の祖となった。また、人間でも身体に一部動物の特徴を持ってして生まれる者が出て来て彼らは差別された敬えられたり、特に何も無かったりとした。

 

 時代は下り人間たちは神を信仰した。その中でも特に大地の神ガイア。風の神アネモイ。水の神オケアノス。火の神へファイトストスが4神と言われ厚い信仰を受けた。信仰を受けた地域には彼らの神殿が建てられ彼らはそこで臣民に加護を与え統治した。

 また、神話の時代には月の神は夜に浮かぶ月は元々は3つだったらしい。けれども、末女は生まれる前に死に絶え、長女と次女はつまらぬ争いのせいで片割れは地上に堕ちもう片割れは空で死んだそうだ。その遺骸が風で揺らされ白銀の丸い月になったそうだ。

 




『さぁ、非情な運命が大地に蠢き始めたこの時代であなた達はどう抗うの?』

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