容姿だけが取り柄の女子高生・三船巴の華麗でない日常

千日越エル

♯1 入学当初

 昼休み。ともえ芽留める樺恋かれんと過ごすことが多い。


 高校に入ってすぐの頃、同じクラスで知っている顔が坂町祐さかまちゆうただ1人だった巴は彼とばかり話していた。今にして思えば、他の人には入り込みにくい空気があったかもしれない。祐との仲は急接近し、彼からは早いタイミングで告白されたが、当時の巴にそれを受けるという発想はなかった。


 玉砕した側は大抵の場合距離を置く。巴は瞬間的にぼっちとなったが、その際に親しくなったのが前述の女子2人である。芽留が言うには「ずっと話しかけたかったんだけど、なんか邪魔しちゃ悪いかなと思ってさー」とのこと。やっぱりそういう風に見えちゃってたか、と巴は反省した。で、なんで芽留は話しかけたかったんだろうと思ったら——。 


「だって巴ちゃんめちゃカワイイから」


 あーそれね。樺恋も「私かわいい子好きなんだよねー」とか言ってるし。マジで見た目に助けられてる。ぼっちにならずに済んでよかった。これからも身だしなみには気をつけようと巴は思った。

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