兄の言うことは何でも信じちゃう妹
梅竹松
第1話 兄妹手帳
オレの名前は
しまりのない顔に寝グセのついた髪。身長や体重はほぼ高一男子の平均値で、体格も普通。外見にあまり特徴のない男子高生だった。
そんなオレだが、ひとつだけ他人に自慢できることがあるとすれば、それは可愛い妹が二人もいるということだろう。
一人は長女で中学二年生の
中学で陸上をやっているおかげか、体は引き締まっており体力もある。
だが、決してスレンダーな体型というわけではなく、出るところはちゃんと出て引っ込むところはちゃんと引っ込んでいた。
おそらく発育がよいのだろう。
中学生にして、彩実の体は大人の女性に近づきつつあった。
一方、もう一人の妹は小学五年生でこの家の次女だ。オレのことは“お兄ちゃん”と呼んでくれる。
名前は
一応、わずかに胸が膨らみ始めたらしいが、服の上からではまったく分からない。おそらく脱いだとしても膨らみが分かるかどうかは微妙なところだろう。
そんな未発達の身体だが、顔立ちは非常に可愛らしく、ぱっちりとした瞳や柔らかそうな唇は花帆のチャームポイントだと思っている。
髪はさらさらのロングヘアで、とても美しい。
活発でアウトドア派の彩実とは対照的に、花帆はどちらかといえば大人しくあまり自己主張をしない。
だが彩実とは異なり、家事全般が得意で非常に家庭的な女の子だ。
我が家は両親が仕事で忙しく、めったに家に帰ってこないので、次女の花帆が家事を担当していた。
そんな自慢の妹たちだが、少し変わっているところもある。
その変わっているところとは、兄であるオレの言うことは何でも信じてしまうという特徴を持っていることだ。
本当に何でも信じるので、オレはしばしば悪戯心が芽生え、デタラメなことを言っては妹たちを困らせたり辱めたりしてしまっている。
そんな我が家の日常を少しだけ紹介しよう。
ある休日の朝。
オレはドタドタと階段を下り、一階のリビングのドアを乱暴に開けた。
リビングでは二人の妹がくつろいでいる。
妹たちはオレに気づくと不思議そうな表情でこちらに視線を向けてきた。
「……お兄ちゃん?」
「どうしたの? リュウ兄……」
二人とも、息を荒げてリビングに入ってきたオレを不審に思ったのだろう。
オレはそんな妹たちに声を張り上げてただの嘘をあたかも衝撃の事実かのように伝えた。
「大変だ! 今年からこの“
「「……けいまいてちょう?」」
二人の声が重なる。
「母子手帳の兄妹版みたいなものだ。……これを見てくれ」
オレは手に持っていた一冊の手帳を二人に見せる。
青い表紙に“兄妹手帳”とだけ書かれたシンプルな手帳。
もちろんこれはオレが百均で購入した何の変哲もない手帳だ。
表紙の文字もマジックで手書きしただけ。
普通の妹なら一瞬で見破ってしまうだろう。
だが、ウチの妹たちは少し特別だ。
兄であるオレの言うことなら基本的に何でも信じてしまう。
今回も例によって例のごとしだった。
「ホントだわ! 兄妹手帳って書いてある!」
「これって各家庭に配られてるの?」
彩実と花帆が手帳をまじまじと見つめる。
どう見ても怪しいのに、一片の疑念も抱いていない様子だ。
オレは笑いそうになるのを必死に堪えながら、花帆の質問に答えた。
「妹のいる兄全員に国から配られてるらしいぞ」
「そうだったんだ……全然知らなかったよ……」
「……で、結局妹の何を記録するの?」
今度は彩実が質問してくる。
「それはな……」
「「それは……?」」
妹たちがごくりと唾を飲み込む。
オレは数秒ほど勿体ぶってから口を開いた。
「身長や体重はもちろん、スリーサイズや裸の写真も残しておかなければならないらしい」
「「ええっ!?」」
驚愕のあまり目を丸くして大声をあげる二人。
しかし、それは無理もないことだろう。突然“兄妹手帳”の存在を知らされ、身体のあらゆる情報を記録しなければならないと言われたのだから。
「それじゃ今から測定するから、さっそく服を脱いでくれ」
「き、急にそんなこと言われても……」
「どうしてもお兄ちゃんが測定しなきゃダメなのかな……?」
「ああ、オレだって心苦しいが……測定は必ず兄がやらなければならない決まりなんだ」
歯を食いしばり、拳を握りしめ、自分だってツラいということをアピールする。
二人はしばらく逡巡したのち、ようやく測定に応じてくれた。
「……わかったわ。決まりなら仕方ないもんね……」
「でも、せめて脱いでるところは見ないで……」
「わかってる。オレは後ろを向いてるから、脱ぎ終わったら教えてくれ」
そう言って、くるりと背中を向ける。
すると、彩実と花帆はオレの後ろでためらいながらも服を脱ぎ始めた。
反対方向を見ていても、しゅるしゅるという脱衣の音は耳に届く。
その音で二人の脱衣する姿を想像しながら、オレは思っていた。
(……まさか信じるとは!)
兄の言うことならたいていのことは信じる素直な妹たちだが、まさかこんな話を信じるとは思わなかった。
普通は疑うだろう。
だが、今さら「嘘でした!」とは言えない。
そんなことを言おうものなら、烈火のごとく怒るに決まっている。
こうなったら、本当にスリーサイズなどを測定し、全裸の写真を撮るしかないだろう。
(……まぁいいか。せっかく騙されてくれたんだし、存分に楽しんじゃえ!)
オレだって健全な思春期男子だ。
当然女の子の体には興味がある。
たとえ実の妹であっても、女子は女子。
この機会に女体を堪能しようと思ってしまうのだった。
しばらくして二人が脱衣を完了する。
「脱いだよ、お兄ちゃん……」
「……そうか」
振り返ると、そこには生まれたままの姿の彩実と花帆が立っていた。
二人とも手で胸と股間を隠し、体を震わせていた。
実の兄が相手とはいえ、思春期の女の子なので裸を見られるのは恥ずかしいのだろう。
彩実も花帆も顔を真っ赤にして、必死に羞恥に耐えている様子だった。
(恥ずかしそうに全裸で震える妹……可愛すぎだろ)
ふと、そんなシスコン疑惑をかけられかねないことを思ってしまう。
だが、一糸まとわぬ姿で羞恥に頬を染める姿は本当に可愛いのだから仕方がない。
オレは妹たちの可愛い姿を目に焼き付けながら、メジャーを手に取った。
「じゃあスリーサイズを測るぞ……」
そして、測定が始まる。
まずは彩実のスリーサイズを測るべく、背後に回った。
彼女のぷりっとした可愛いお尻が視界に飛び込んでくる。
「彩実、測るから手をどけてくれ」
「うん……」
彩実が言われた通り胸や股間から手を離す。
オレは彩実のスリーサイズをバスト、ウエスト、ヒップの順に測った。
それが終わると、次は花帆の番だ。
背後に回ると、手をどけてもらい、メジャーを使って上から測り始める。
彩実と同様に、花帆も抵抗することなく素直に測らせてくれたので、測定はすぐに終わった。
「次は身長と体重だな」
メジャーをしまい、次の測定に移行する。
といっても、身長と体重を測るのにそう時間はかからない。
スリーサイズの測定よりも早く終了するのだった。
「さてと……次で最後だけど……」
「裸の撮影……しなきゃだめなのよね?」
最後にして最難関の写真撮影が始まる。
彩実や花帆にとっては一番恥ずかしい瞬間だろう。
なぜならこの時ばかりは兄の目の前で全裸を晒さなければならないからだ。
スリーサイズや身長・体重の測定の時は見ないようにすることも可能だったが、写真撮影だけはそうもいかない。
被写体をしっかりと見て、シャッターを押さなければならないのだ。
「これで終わりだから、二人とも頑張れ」
「………………うん」
意を決したように姉の彩実が気をつけの姿勢でオレに裸体を晒す。
胸もあそこも丸見えになった。
中学生とは思えない豊かな胸に、きれいなあそこ。体も隅々まで手入れされているようで、その裸体はまるで芸術作品のようだった。
「うぅ……恥ずかしい……」
ほとんど涙目でオレの前に立つ彩実。兄に裸を見せることが相当恥ずかしいのだろう。
「じゃあ撮るぞ……」
オレはスマホのカメラアプリを起動させてレンズを彩実に向けると、シャッターボタンを押した。
「……よし。もういいぞ」
オレがそう言うと、彩実はすぐに手で胸と股間を隠す。
ようやく恥ずかしい部分を隠すことができて少しだけ安堵している様子だった。
「次は花帆だな……頑張れるか?」
オレの視線が彩実から花帆に移る。
花帆は非常に緊張している様子だったが、覚悟はすでに決まっているようだった。
「大丈夫……恥ずかしいけど、お姉ちゃんが頑張ったんだから、わたしだって……」
そう言って、花帆は自ら手を横にどけて気をつけの姿勢になった。
花帆の体も、彩実に負けず劣らずきれいだった。
第二次性徴期前でいろいろと未発達だが、それでも思春期真っただ中の童貞を興奮させるには充分なボディと言えるだろう。
姉の彩実が発育良好なので、数年後には花帆もグラマラスな体つきになっている可能性は高い。
数年後が今から楽しみだ。
オレは花帆の体に性的魅力を感じつつ、スマホのレンズを向けた。
そして、羞恥に耐える全裸の花帆を撮影したのだった。
「……撮影完了だ」
スマホから視線を離し、終了したことを伝える。
すると、花帆はその場にへたり込んでしまった。
「あ〜恥ずかしかったぁ〜」
未だに顔を真っ赤にした状態で一息つく花帆。
小学生とはいえ五年生にもなれば、やはり裸を見られたら恥ずかしいと感じるようだ。
まだまだ子どもだと思っていたが、花帆にもちゃんと羞恥心は芽生えている。
兄として妹の成長を感じられたことは素直に嬉しかった。
「二人ともよく頑張ったな。ご褒美にケーキを買っておいたから、みんなで食べよう!」
「「……え? ケーキ!?」」
ケーキと聞いて、未だ全裸の二人が目を輝かせる。
「有名洋菓子店のケーキだ。しかも数量限定の品だぞ?」
「リュウ兄……いつの間にそんなものを……」
「本当に食べていいの?」
「もちろんだ。……ただ、その前に服を着ないとな」
「あ……」
「そうだったね……すぐ着るからちょっと待ってて」
そうして二人が先ほど脱いだ服を再び着用し始める。
着衣は脱衣よりもずっと早く完了した。
「服着たわよ、リュウ兄!」
「すぐに紅茶を淹れるから、そしたらみんなで食べようね」
そう言って、花帆が紅茶を淹れるべくキッチンに向かう。
ほどなくして花帆は、紅茶を注いだティーカップを三つお盆に載せて戻ってきた。
「ありがとな、花帆。それじゃ、おやつにしようか!」
「「うん!!」」
その後、オレたちはケーキと紅茶に舌鼓を打ちながら束の間のおやつタイムを楽しんだのだった。
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