13話、商店
ヴァルさんと一緒に、また王都の外にきた。樵の小屋に預けた女の子を回収して、それから奴隷商に向かう。
「この国では、奴隷ってどういう感じなんですか?」
「種類がいくつかある。まず、借金奴隷。これは奴隷というより、借金の返済のために労働力として自らを売り出す形だ。奴隷組合によって労働時間や休憩時間、休みの日数も決められているから、余程の事がなければ安全に働くことができる」
職安みたいな感じかな? ちょっと違うか。
「次に犯罪奴隷。これは国が定めた免状を持つもののみが買うことができる永久奴隷だ。これは何に使っても罰則はない。処刑か犯罪奴隷か、というくらいの厳しいものだ」
それは…… なにに使ってもいいのは便利だろうけど。
「最後に、捕虜奴隷。これは犯罪奴隷と違い誰でも買えるが、買い主にはそれなりに人道的な対応をもとめられる。たとえば、過度な暴力は禁止、食事は最低でも体調を崩さない程度にはとらせる、など。借金奴隷と違い、解放されることはないが、犯罪奴隷よりはマシな扱いを受ける」
なるほど。結構厳しいんだな…… 普通の人は、なったとしても借金奴隷か。
「この子はどうなるんですかね」
「魔族は、魔王軍従軍歴や殺人歴がある場合は犯罪奴隷。従軍歴が無かったり、子供の場合は捕虜奴隷になるだろう」
じゃ、とりあえず私が引き取ることは出来るわけね。ていうか魔王いるんだ。こわいなあ。
奴隷商に到着。
なんか薄汚いのを想像していたが、めちゃくちゃ綺麗だ。宝石店かってくらい。
「聖騎士のヴァルだ。話は届いているか」
店に入るなり、ヴァルが声を上げた。
小綺麗なおじさんが、すぐに駆けてくる。
「お待ちしておりました、ヴァル様。そちらが、例の魔族でございますか?」
「ああ。たのむ。主人はこちらの女性だ」
「かしこまりました、そのように。少しかかりますので、奥の部屋でお待ちください。おい、案内してくれ」
「はっ」
控えていた従業員に案内され、奥の部屋へ。
すぐに紅茶と菓子が出される。
「時間がかかるって、なにするんですか?」
「ああ。まず、体に呪いなどがないかの確認だな。それから、奴隷契約のための魔法を体に染み込ませる」
なるほどね。飛び込みで奴隷にしてください、ってのは時間がかかるわけか。
しかたない、少し待とう。
……紅茶もお菓子も、聖女様のところのより全然……これもしかたないか。
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