第21話 試験

ここがあのレドラか。何というか、中世のヨーロッパぽいな。違うところがあるとすれば、野郎どものうるささかな。


「ちょっと、周りがうるさいですね。」

「ああ。耳が壊れるかもしれん。」

「確かにずっとこれは嫌ですね。」

「さっさと抜けよう。」

「はい。」



ここが学校か。ここだけ、イタリアみたいだな。白すぎる。

俺は受付の人っぽい人に話しかける。


「この学校の入学試験はどこですか?」

「え、ぼうや?ああ、そっちの姉ちゃんか。こっちの校舎の裏にある訓練場だよ。」

「いえ、エル様の方です。」

「エル、さま?様?貴族の方かい?」

「いいや。違いますが。」

「............ぼうやにみたいな非力じゃあ、絶対に入学できないよ。」

「俺は非力じゃないんで大丈夫です。」

「そうかい。なら、2人とも入学試験頑張りな。」

「はい。」

「え?私も?」

「いいだろ。どうせ暇になるんだから。」

「まあ、はい。分かりました。」

「さて、どんな試験かなぁ。」

「楽なやつだといいのですが。」


試験をしてくれるであろうムキムキのおじさんがしゃべっていた。


「これから、レドラ王立学園の入学試験を始める‼この試験では怪我をすることが多い‼死ぬこともある‼そのため今なら入学は出来ないが怪我をしずに変えることができる‼やめておく者は即刻立ち去れ‼立ち去るものはいないな‼これより、試験の内容を発表する‼現教師との試合だ‼真剣を用いたものだ‼さあ始めるぞ‼誰とやるかは君たちが決めていい‼しかし、変更なしだ‼」


現教師、つまり試験官は4人だ。

1人目はさっき話していたムキムキのおじさん。

2人目は目の下に隈がある不健康そうなおじさん。

3人目はいかにも強そうな装備を着ているおじさん。

4人目は軽装で微笑んでいるお姉さん。


「俺は誰にしようかな。まあ、決めっているようなもんなんだけど。」

「エル様は誰にするんですか?」

「一番強い奴。」

「それでは、私は2番目に強い人とやりますね。」


大体の人はムキムキのおじさんといかにも強そうなおじさんへ向かった。

俺は、


「お姉さんにします。」

「あら?誰も来ないかと思ったけど来る子はいたみたいね。」

「一番強いですよね?」

「へぇ。わかるんだ?すごいね。」

「いえいえ。まだまだですよ。」

「そう。獲物を取り出して。はじめましょ。」

「俺はなしで行きます。」

「へぇ。どういうつもり?」

「体術もできまして。お姉さんも本来はガントレットですよね?」

「なんでわかるのかなぁ。」

「ちょっと、剣を持っているときにぎこちなさを感じたので。ちなみに魔法の使用はアリですよね?」

「ええ。ありよ。さあ、始めましょうか。」


無属性魔法 身体強化    発動

無属性魔法 魔鎧      発動

無属性魔法 探知      発動(全方位、自身から10m)


お姉さんは自然な足運びでエルの後ろを取り、足払いをする。

普通の防御力(100ほど)(鉄板が折れ曲がるほど)であれば両足を骨折していたであろう威力である。

それをエルは察知すると前へ体を倒しながら倒立し、お姉さんの顎に当てに行く。

お姉さんはそれを1歩下がりぎりぎりで避けていた。分かるものが見れば、お姉さんはエルの間合いを見切ってある意味余裕のある回避をしていたことに。

エルはすぐさまお姉さんが横からパンチをくらわせようとしていることを察知。

回避の行動に移る。しかし、スピードはあちらの方が上。それに加え、自然すぎる足運び。この2つが相まってエルにはとてつもなくお姉さんは速く動いているように感じられた。エルは回避が間に合わずくらってしまう。急所からずらすことに成功していた。が少なからずダメージをくらう。


「その感じじゃあ降参したほうがいいと思うけど、大丈夫?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

一定以上のダメージをくらったことを確認しました。

リミッターを一部解除します。100分の1→10分の1

内臓が損傷しています。

テミスにヒールの要請...やり終わっています

完治していることを確認しました。ご武運をマスター。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「............大丈夫です。」

「驚いたわ。さっきより強くなっているじゃない。」

「本来の力に近づいただけですよ。」

お姉さんの耳の近づき

「お姉さんなら、大丈夫ですよね?」

お姉さんは

「っ!」

拳をふるうがいない。さっきと同じ場所にいたのに。

エルは発動した

無属性魔法 無手(弱弱)    発動


お姉さんはこれのやばさを直感で理解した。あれをくらってしまうと致命的になることを。


お姉さんはエルに拳を連続して放つ。

しかしすべてをエルはさばいた。そして、腹にお姉さんはくらってしまった。

お姉さんは立ち上がれず、負けを認めた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

戦闘が終了したことを確認しました。

リミッターをかけます。(100分の1)..................成功しました。

お疲れ様です。マスター。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


お姉さんを担いで誰もいないところいくとお姉さんにヒールをかけるが治らない。

無手による損傷は内臓の重要な血管が破れているためヒールでは威力が足りないのだ。

エルはそのことに気付くと演算人格、できるよね?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

はい。神聖魔法ならば。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


よし、手伝って。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

了解しました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


テミスも


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

初の大仕事ですね。全力でやります!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

光魔法 Lv.10 昇華  神聖魔法


神聖魔法 Lv4エクストラヒール  発動

消費魔力    1000万


はぁ、はぁ。久しぶりに一気に魔力を消費したな。


お姉さんの体に光が集まり注がれていく。顔色が良くなった。顔が赤くなってきた。

喘ぎ始めた。どういうこと?

「あ、あぁん。っきゃん。」

統括人格、これはどういうことかわかる?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

はい。マスターはパーフェクトヒールよりも上のエクストラヒールを使用したため、内臓の損傷を完治したのち、あまった効力で体調を良くしています。しかし、そのせいで体の感度が高まり、気持ちよくなっているようです。しばらくすれば、落ち着きます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーならいいや。ゆっくりしとこ。


こうして、校舎の裏で1人の男は寝ていて、横の女は喘ぎ続けているという奇妙な構図が出来上がった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る