第6話①川島豪
かとうはイベントの情報をラジオで伝え、イベントには毎回来てくれて、写真を撮りSNSにあげてくれている。
かとうのラジオ視聴者数とSNSフォロワー数は右肩上がりだ。
それが関係しているか不明だが、公式SNSのフォロワー数も増え続けている。
チームは選手やスタッフにSNS講座を開講した。
日本一ファンを大切にするチームスローガンのもと、SNSを通じて、ファンと直接コミュニケーションを取り、多くのファンと繋がり、リアルタイムで意見や感想を交換を行い、ファンとの距離を縮め、親近感を持ってもらうためにSNS発信を推奨した。
このようなチームの雰囲気の中、広報部に所属する川島はSNS発信を頑なに拒否しているようだった。
いつもの練習後、割烹東で食事をしながら田﨑は川島と話をしていた。
今日は大将おすすめのモツ煮。
野菜もたくさん入っていて少し辛めでお酒が進む。
「川島は広報なのになんでSNSしないの?」
辟易とした表情で
「だから嫌なんですよ」
と答えた。
「広報って、なんだかんだ色んな手段を使って、会社や商品のことを発信して、世間におけるブランドイメージの向上とかをする部署って思われていますよね?」
「うん。そう思ってる。
違うの? 」
田﨑は率直に聞いた。
「違うくはないです。
でも僕はまだそんなことはできないですよ。
プレスリリースの叩きを作成して、修正修正さらに修正で原形がなくなったプレスリリースを記者クラブへの投げ込みが今の仕事なんですよ」
と川島は答えた。
「それは分かったけど、SNSしないことと関係ある?」
と田﨑と同期の北村がモツ煮を食べながら聞いた。
「広報の川島が!投稿した内容がこれか。って言われるのが怖くてできませんよ。
ファンの人が喜ぶ内容なんて、何も思いつかないですよ!」
と、川島は叫ぶように言った。
川島も周囲や自分が抱いている仕事のイメージと実際の仕事内容のギャップに悩んでいることを感じた。
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