第45話 終焉をもたらす剣

 聖帝七騎士の力を全て手に入れたライトが放つ邪悪で巨大なオーラによって、空は一瞬で黒くなり、聖王国内だけでなく各地で竜巻、地震、落雷、津波、暴風、暴雪といった天変地異が起こり始める。


「まずはこれのコンボをやってみようかなぁ」


 フッと姿を消すライト。


「俺の前では高速移動は無意味だ」


 周囲を警戒していた俺の顔面に、突如現れたライトの蹴りが炸裂して後方へ吹っ飛ぶ。


「ちっ! 俺が躱しきれないだと!」


 蹴りが顔面に直撃する瞬間に、蹴りと同じ方向に飛んでダメージを軽減した。


 パッシブスキル、KYT危険予知を持っているのに、なぜライトの攻撃が当たったのかを考えるが答えはすぐにでた。

 はっきりとライトの動きは予知できていた、しかし予知ができても早すぎる攻撃に対処が遅れたのだ。


「不意打ち以外で攻撃を当てれたのは初めてだなぁ。でも、直撃をさけるなんてさすがだね」

「余裕だなライト。だが、そんなものか? 超級特異能力エキスパートスキル業者ゴッド対応メンテナンス


 俺は業者ゴッド対応メンテナンスで、自分の全てのステータスをカンストさせた。


能力ステータス強化? そんなので神に近い俺に勝てるわけないだろうが!」


 ライトは高速で距離を詰めて破壊神マルボロの右腕ライトで強化された右の拳を俺の腹部に振るうと、強烈な一撃の衝撃波は俺の体を突き抜けて、俺の後ろ側にある城壁を丸々吹き飛ばした。


「これが神の一撃さ。さすがにもう立てないよねぇ」


 腹部に当てた拳をライトは引き抜くと、俺はそのまま前のめりに倒れこむ、ふりをする。


「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャ! 死ね死ね、死ねぇぇぇ!」


 前のめりに倒れこんだ俺は、そのまま一回転して踵落としをライトの脳天へ繰り出した。


「ぶほっ!」


 脳天に直撃を受けたライトは、玉座の間の床を大きな音を立ててぶち破ると、そのままの勢いのまま最上階から一階まで床を突き破り続けた。


「かなり加減したが、やりすぎたか? まぁ、こんなものでは死なないだろ」


 玉座の間に空いた穴に飛び込み、空中から地面に突き刺さっているライトの姿が見えたのでライトの顔の前に降り立つ。


「それが神の力か? 面白い冗談だな」

「闇帝のパッシブスキルが発動する前に攻撃を当ててくるなんて……それに俺の攻撃は確実に直撃したはず!」

「攻撃? あー、あれか。じゃれていると思ったんだが違ったのか?」

「くそがぁぁぁぁ!」


 ライトがオーラを放出すると周りの地面が吹き飛び、ライトは地面の穴から浮かび出る。


「打撃は元々好きじゃない、ここからは本気でいく。御方に頂いた聖剣を超える神聖剣の力の前にひれ伏せ!」


 ライトは空間から一振りの剣を取り出した。


超級特異能力エキスパートスキル、神聖剣、終焉をもたらす剣ラグナロク


 ライトが鞘から剣を引き抜くと、聖なる光と邪な光の二つの光が剣の周りを渦状に回っている。


「これは神を殺すための剣なのさ。本当はお前なんかに使うつもりはなかったんだけどね」

「そうか、それなら俺に勝てるのか?」


 アヒャヒャヒャと大きく笑うライト。


「言ったよねぇ? 神を殺す剣だってさぁ。神を殺せるって事は『超越者』のお前も殺せるって事なんだよぉ!」

「そうは思えないがな。武器は武器、剣は剣、それ以上でもそれ以下でもない」


 チッチッチッと神聖剣、終焉をもたらす剣ラグナロクを横に振るライト。


「神聖剣の所持者は神聖剣でしか倒せないのさ。だから神を殺すためにも神聖剣が必要なんだよ。嘘だと思うなら試してみれば?」

「面白い、それが嘘でも誠でもな。なら、超級特異能力!業者ゴッド対応メンテナンス


 俺は能力値ステータスを自分が望む数値へ変更させる事ができる、超級特異能力(エキスパートスキル)業者ゴッド対応メンテナンスを発動する。


「だから言ったじゃん。神聖剣の所持者は神聖剣でしか倒せない、これは神さえ抗う事ができないこの世界の法則なのさ」

「超級特異能力さえもとなると、結構問題だな。作業基準書、現在起きているトラブルに有効な対処法は?」


 脳内に、鈴を転がした様な女性の声が聞こえる。


「はい、担当者様。現在起きているトラブルの対処法は、今のところございません。しかし、トラブルを解決できる人物を知っております。外線通話を行いますか?」

「至急頼む」

「外線通話繋がりました。担当者様へお繋ぎします」


 外線通話が繋がれると、俺以外の全世界の時が止まる。


「お久しぶりですね」


 脳内に聞こえてくる外線通話の相手は神聖さを感じさせる透明な女性の声をしているが、俺には全く聞き覚えがなかった。


「だれだ? 本当に現状を打破できる術を知っているのか?」


 外線相手は透き通るような声で話しかけてきた。


「魔王ジン・シュタイン・ベルフ、もう時間の猶予がありませんから簡潔に述べます。神聖剣を倒すには神聖剣が必要です」

「それは俺も知っている。だが、話をする前に名乗れ。失礼だとは思わないのか?」


 コホンと小さく咳払いをしたあとに女性は自分が何者かを名乗る。


「私は――女神です」

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