第38話 竜帝vs三帝騎士団
♢
竜帝と三帝騎士団の戦いが始まる。
「吾輩が前にでる! いつものでいくぞ!」
帝国重装騎士団長が先の戦いでドラゴンのブレスを防いだ盾とは、全く違う形の盾を構えて前に出る。
「竜騎士以外に用はない、消えよ!」
ドラゴンから飛び降りて急接近する竜帝の槍を帝国重装騎士団長が盾で防ぐと、竜帝は盾に弾かれて反対方向へ吹き飛ぶが、見事に地面へと着地して帝国重装騎士団長の盾を見る。
「なるほど、衝撃を反射したのか」
「
「上級特異能力!
竜帝の少しの油断を見逃さなかった帝国近衛騎士団長は、大気をも切り裂く突きから繰り出される雷を纏った衝撃波を竜帝に放つ。
「面白い、
竜帝が放つ突きの衝撃波はドラゴンの形となり、帝国近衛騎士が放つ衝撃波をかき消した。
「僕の全力の
力の代償で帝国近衛騎士団長の右目にはもうなにも映っていない。
「私の生命力を!
帝国魔装騎士団長と帝国近衛騎士団長の生命力が交換される。
生命力を交換した事により、帝国近衛騎士団長の視力が回復するが、帝国近衛騎士団長の生命力の消費が激しかったため、帝国魔装騎士団長の両目は視力を失い激しく吐血する。
「魔装の兄ちゃん……。せっかく生命力をもらったのにごめんだけど」
帝国近衛騎士団長から目に見える闘気が迸り、その闘気は竜の形となる。
「――全部使わせてもらうよ」
帝国重装騎士団長は盾の形を変えて、帝国近衛騎士団長の前に立つ。
「彼奴の攻撃は吾輩に任せろ。
発動中にずっと生命力を奪われ続ける魔界の盾の中で、一番消費量が多い盾を構える。
「なんの盾かは知らないが、防がれなければ問題ないだろう」
高速で帝国近衛騎士団長に接近する竜帝の槍の突きが放たれる。
「させんわ!」
高速の槍の攻撃を盾で止める帝国重装騎士団長。
「一気に決める!」
帝国近衛騎士団長は怒涛の勢いで突きを放つが、竜帝はことごとく躱していく。
「ええい、鬱陶しい」
またしても高速の突きを繰り出す竜帝だが、帝国重装騎士団長の盾に阻まれる。
「自動追尾か? 小癪な」
竜帝が槍で攻撃をして、その攻撃を帝国重装騎士団長が盾で防ぎ、隙を見て帝国近衛騎士団長が攻撃をする。
いつも通りの戦い方に見えるが、帝国近衛騎士団長は槍を振るうたびに生命力を失い、帝国重装騎士団長は盾を持っているだけで生命力が失われていく。
もう二人の生命力は残り少なくなってきており、ブーストの反動もあって二人の動きはみるみるうちに悪くなっていく。
「このままでは全滅……。術式は――もう少し、という事はアレを使う時が来たようですね」
両目の見えない帝国魔装騎士団長は、二人の生命力が減って来ているのを感じ取り、隠し玉を使う事を決心した。
「生命力を魔力に変換すれば私でも大魔法の一つ、
魔具を使って、自らの持つ生命力をありったけ魔力に変換する帝国魔装騎士団長。
「神よ! 人生最初で最後のお願いだ、この大魔法を発動してくれ! 転移魔法、
帝国魔装騎士団長が座標転移を唱えると、竜帝と対峙していた二人の騎士団長と帝国魔装騎士団長の位置が入れ替わった。
「魔装の兄ちゃん!」
「魔装の! なにを考えておる!」
二人の叫びにも近い声を聞いた帝国魔装騎士団長はニコリと笑う。
「この魔具は術者の魂を媒体にしているので食事には行けそうにありませんね」
竜帝はフラフラの魔装騎士団長を見て高らかに笑う。
「そんな体でなにができる? 私がなにもせずとも、お前はもう直に死ぬぞ?」
大量に吐血する帝国魔装騎士団長は、血を吐き出しながら高らかに笑い返す。
「なにができるだって? 決まっているでしょう。時間稼ぎですよ」
帝国魔装騎士団長の体が青く光りだす。
「二人共、さようなら――
激しい閃光が辺りを照らし、計り知れない威力の大爆発が起こる。
「待て、待ってよ! 奢りはどうなるんだよ!」
「魔装の……。あの世で会ったらまず顔面を殴らせてもらうぞ……」
二人が悲しみに暮れていると、大爆発の煙が徐々に晴れていく。
「これがあの男の騎士道。仲間にはクズか戦闘狂しかいないので、久しぶりにいいものが見れた」
あの大爆発の中、竜帝は無傷だが帝国魔装騎士団長の姿はない。
「私に
大爆発が起こる前に魔剤を飲んだ竜帝は、
「あの男の騎士道に敬意を表して、竜騎士最強の力を見せてやろう!」
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