死神零/シニガミゼロ
@kandoukei
序幕:死神と死霊、そして、少女
私はいつも呪った、幼い頃から死神憑きと揶揄された自らの愚鈍さに。
両親の事故死をきっかけなのか、分からなかった彼女はその時から死に遭遇する運命に憑き纏われた。
それは、今でも変わらない。
とある事情で曰く付きの路地裏で季節外れの肝試しに参ったばかりに絶体絶命の恐怖体験に遭遇する事になった。
路地裏の奥から繰り抜かれた目と鼻と
私は茶色の長髪が乱れるほど、一目散に逃げるのに必死になってる内にいつまでも路地裏から出られないことに気付いた。
そう気付いた時、足を転ばせ、地面に倒れた。起き上がろうとしても、時すでに遅く、怪物の腕の一つに捕まった。
意図も容易く握り潰せる筈なのに、身体の骨と肉が軋ませ痛めつけられる。
この翡翠の瞳で見た怪物の表情は嘲笑っていた。嗚呼、嬲り虐められるんだな。学校にいるあいつらと同じく。
思えば、誰からも忌み嫌われ、虐められる人生を走馬灯で頭の中で呼び起こした。
一人くらい親友がいたけど、悲しんでくれるのだろうか?
そう思う内に怪物はぶっきらぼうな反応を見せる私に苛ついたか、飽きたのか、口の一つを大きく延ばし、喰らおうとする。
嗚呼、嫌だ。恵まれない人生でも死ぬのは絶対嫌だ…なんて、抗うどころか、生き抜こうとする気力さえ浮かばないほど疲弊していった。
そう無念に思い、大きく裂けた口の中へ放り込まれようとした時、目の前に黒い者が遮り堕ちて、私は安全な地面に堕ちた。
すると、目の前の怪物は真っ二つになっていたと思ったら、すぐに灰として消し去られた。
さらに、私の前にいたのは黒いフードがついたコートを被り着て、右手には多分、あの怪物を真っ二つに斬り断ったであろう金色の鎖や装飾などがついた大鎌を持っていた。
そして、その者が私を見るために振り向いた顔は黒い短髪に赤い瞳、左の頬と右の目元に傷がついた、まるで死神のような青年だった。
私は感謝を述べようとした。しかし、口は思うように動かないどころか、呼吸が著しくなり、意識が朦朧とした。
「しょう…あて…たく…どく…ふほん…よてい…やるか…」
何かを言っているその青年はその彼と私の額を互いにくっつかせ、何かを唱える。
すると、彼と私は淡く青白い光を纏い、彼が私の中に入ってくる。
身体の中で私と彼が重なった瞬間、様々な記憶が入れられた。
寂れた村で白髪赤眼の少女と共に死に、
稽古場でその少女と大鎌を振るい、
赤い装束の王様がその少女を消し炭にし、
古風な裁判所に鎖で縛られ、
そして、その判決は…
その時、私はその膨大な情報量の前に意識を手放した。
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