第71話 二人で探索

避難所の現状を見て、接触はやめておく事にする。


頑張っている人達と、情報共有しながらやっていこうかと思っていたが、あそこと接触しても一方的に搾取されて終わってしまいそうだ。


避難民の中でも頑張って活動している人達に何か出来ないかと思い、盗み聞きをしていると何やら作戦が進行中の様だ。


今の現状よりは良くなりそうな話だな。

上手くいけばだが。


未覚醒者を数十人引き連れて、結構離れた所にいる部隊と合流か。


覚醒者の殆どがレベル10以下で二人が10半ばか、少しキツくないか?


でも皆、覚悟は出来ている顔をしているな。

少しだけ、合流までは手助けしよう。


作戦決行の当日、俺は彼らが向かう先のモンスターを倒していく。

戦闘がほぼ無いので一時間くらいで合流を果たしたな。


合流した部隊は結構強いな。

これなら守りながら進むことも可能だろう。


彼らの行き先を聞けた俺は、その場を離れ皆の元に帰って来た。

少ししたら様子を見にいこう。


拠点に戻り皆がいるリビングに入っていく。


「お帰りなさい、雅人さん」


「ただいま」


ん?


「雅人さん、朝すぐに出掛けたけど何かあったんですか?」


「前に話した自衛隊の避難所に動きがあったから、様子を見てきただけだよ」


んん?何か違和感が?


「雅人さん、どうかした?」


っ!名前だ!雅人さんって!

名前で呼ばれる事が少な過ぎて気付けなかった。


皆が一斉に呼び始めたのだから、全員共犯だろう。

何かニヤニヤして見ている者もいる。


「いや、何でもない。

嬉しいからそのままでお願いします」


「分かったよ、雅人さん!」

「雅人さーん!」

楽しいな、皆と過ごすのは。


たまたま出会い集まったメンバーだが、皆が前向きに行動し、それぞれの出来る事をおこなう。


他のメンバーがやりたい事を応援し、足りないところを補い合っていく。

理想的な集団生活だよな、みんな可愛いし。


幸せだな、俺は。

改めてそう思う。


皆で夕飯を食べながら避難所の様子を伝える。


離脱した人達が無事に生活出来ると良いね、と皆が話している。


避難所に残された人達を心配する声もあるが、最終的には自分達で頑張るしかないと、あっさり終わったな。


俺もそうだが、ステータスの精神力が上がっているからか、ドライな考え方が出来るようになっている気がする。


以前の暮らしなら、冷たい反応なのだろうが今はこれで良いと思っている。


だからか?自衛隊のお偉いさんは、避難民を無条件で保護しようとしていたのは。

以前のままの精神だったと。


覚醒した隊員達は、それでは生き残れないとドライに切り捨てる判断が出来た。


確証はないがそんな気がした。


それでも冷酷非道になる訳ではないし、少しドライな判断が出来やすくなっただけなので、この生活では良いことだと思う。


そんな事を考えていると、お願いがあると言う。


何でも言ってください、全力で叶えましょう!と意気込んでみたが、一緒に探索に行きたい?いいよ!

ん?二人で?探索デート?喜んで!


今後俺は、可愛い女の子とデートをしながら楽しく暮らしていくらしい。

最高じゃね?デート嬉しい!泊まりもオッケー?マジですか?最高だね!


基本的には、今までの夜当番の者が探索にも同行してくれるそうだ。

夜当番って?夜の当番だね。


これは色々と準備をしなくては!


家の防衛は今のところ過剰なぼどにしてあるが、周辺の確認は常にしておきたい。


探索隊を結成して周辺の確認と、北部の状況把握をしていこう。


探索隊は空気中の魔力を吸収して活動可能時間を伸ばすとしても、攻撃魔法は今のところ無理だな。

すぐにガス欠になってしまう。


調査が仕事なので魔力感知で強い魔物を探すタイプと鑑定で詳細を調べるタイプ、後は念話で俺に報告する三体を一グループとして活動してもらおう。


念話?あれ?この雲しゃべれるの?と創ってから思ったが、簡単な報告は問題なく出来てるので安心した。


探索第一隊から第五隊まで創ったので第一隊は拠点周辺の調査。

第二隊から第五隊は北部の調査をやってもらおう。


基本は魔力反応の強いモンスターや魔力が多く集まっている場所の調査だな。

もし生存者を発見できたら、それも報告してもらう。


これで俺がまったりデートを楽しんでいても問題ないだろう。


その日の夜、明日からデートがスタートだと私は大分先じゃん!と可愛く拗ねる友美を何とか満足させ眠りについた。

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