第45話 正月
朝に目が覚める。
寝る前の事は覚えてるな。
毒耐性の効果か、お酒を飲んでも以前ほど酔わないが、昨日は飲みすぎたみたいだ。
最後の方は、変なテンションになってたな。
一緒にいて欲しい!とか恥ずかしい事を叫んでた覚えがある。
恥ずかしいが、後悔はしていない。
なんか色々と考えた気がするが、自分の出来ることを、のんびりとやっていこう。
そんな暮らしの中に、皆がいてくれれば、俺はとても幸せなんだから。
そんな事を考えてたら、皆の顔が見たくなってきてな。
食堂へ向かおう。
食堂に入ると、全員が揃ってる?俺より遅くまで飲んでいた筈だが、元気だな。
少し恥ずかしいが、平静な振りをしつつ、挨拶をする。
「おはよう。
改めて、明けましておめでとう」
皆も挨拶を返してくれる。
新年をこんなに大勢で迎えられるなんて、以前の俺では考えられなかったな。
皆を思う気持ちが、日に日に強くなってしまうな。
いつものソファに座った俺の前に、何故か全員が集まってくる。
なんだ?何が始まる?
不思議がる俺の前に立った、由香里が話し出す。
「高遠さん、改めて私達の気持ちを伝えたいと思います。
私達は皆、高遠さんの事が大好きです。
環境の変化に、引きずられた部分が無いかは分かりませんが、高遠さんが大好きで、ずっと一緒にいたいと思う気持ちを、皆が持っているのは間違いありません。
こんな世界になって皆、親しい人を亡くしました。
これからの世界がどうなってしまうのか、想像も出来ません。
そんな中で高遠さんは、笑顔と幸せを私達に取り戻してくれました。
そんな事が出来る人は、他にいません。
これからも苦しい事、楽しい事があると思いますが、全てを私達と共有して生きていきましょう。
どうか、よろしくお願いします」
「「「「「よろしくお願いします!」」」」」
ヤバい!泣きそう!涙を堪えて
「ありがとう。
俺も皆の事が、とても大切で、大好きです。
皆と一緒に暮らしている事が、とても幸せです!
こちらこそ、これからもよろしくお願いします!」
こんな世界で少しでも皆に、幸せを感じてもらえているのなら嬉しい事だな。
年長者と言うことで、代表して話した由香里は、ほっとしたようにソファに座り込む。
他のメンバーが、良い演説だった!感動した!等と誉めまくっているな。
人数が多いから、静かに余韻にひたる感じにはなれないが、楽しいな。
その後の十日間程は、くだらない雑談やら猥談、真面目な相談やら今後の考えなど、沢山の話をした。
子供達とも遊んで楽しんだり、製作や建築を活かして物作りを楽しんだりもした。
そんな中で、亜季から念話のスキルを取って欲しいと頼まれた。
亜季は既に取ったそうだが、相手も持っていないと使えなかったらしい。
早速取ってみると
登録の無い念話の申請が届きました。
と頭に声が聞こえて、目の前のウィンドウに
申請者 藤森亜季子
登録しますか?
YES/NO
と表示される。
YESを選択すると、亜季の声が頭の中に聞こえてきた。
なんか変な感じだな。
システムさんの声もそうだが、周りから普通に聞こえてくる音とは別に、脳が言葉として認識している?
これは便利だな。
探索に行ってる間にも、連絡が取れるのは安心できる。
最初に、念話を持っている者が、近くで登録をしなくては使えないが、登録をしておけば距離は関係ない様だ。
MP消費はあるが、自然回復する方が多いな。
自然回復量は、状態によって増減する様で面倒だから詳しくは調べていない。
俺は普段、1分間に2回復しているのは確認している。
皆は1分間に1らしい、スキルの差だな。
ただ、以前気絶した志帆はもっと遅かったし、睡眠後は多く回復していたりと、よく分からない。
何か法則があるのだろうが、困ってないので別にいいだろうと放置している。
念話によって、離れている時の心配も軽減されるので、俺は明日から探索を再開しようと思う。
余談だが、皆の気持ちを聞かせてもらった日の夜に、由香里が部屋にやってきた。
なんと巫女服に狐耳を付けた姿でだ!
可愛いすぎた!某うどん麺のCM女優さんを越える可愛いらしさだった。
正月に巫女さんと!興奮しない訳がなく…
ありがとうございます!大変よろしかったです!
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