第43話 女子会

他人視点


高遠さんを部屋に帰らせてから、皆で話す。

「高遠さん、少しは吹っ切れたのかな?」

「最近、特に焦ってる感じがしたもんね」

「結構プレッシャーになってたんだと思うよ」

「そりゃそうだよね、一気にこんなに沢山の面倒を見なくちゃいけなくなったんだから」

「私達を自立させて、どっかに行っちゃうのかと、心配な感じもしたよ?」

「確かに。

自分が面倒を見る代わりに、身体を差し出させてるって感じが、正常じゃないって思ってるんでしょ」

「正常ではないよね」

「世界が正常じゃ無くなったんだから、今まで通りの考え方は出来ないよ」

「でも、一緒にいて欲しいって言ってたよ?」

「だから、少し吹っ切れたのかな?って」

「そういう事かぁ」

「私達からすれば、頼れる男性に惚れるのは、自然な事なんだけどね」

「自分は46歳のおじさんだから、そんな事あり得ないと思ってるんでしょ」

「今の高遠さんを見て、惚れない女の方が少なくない?」

「だよね」

「その辺も急な変化で、認識が追い付いてないんでしょ」

「私もレベルアップする度に、自分が変わっていくのが楽しい」

「女は普段から自分をよく見てるからね」

「確かに、おじさんはあまり気にしてなかったのかもね」

「それなら、私達が仕方なく相手をしてるんじゃないって、分からせないとね」

「結構アピールしてきたつもりだけど、足りなかったんだね」

「そうだよね、嫌々なら、こっちからコスプレとかしないよね」

「ウェディングドレスとか逆プロポーズだもんね」

「そ、そんなつもりは…」

「ある程度、自立した姿を見せる必要もあるかも。

その上で高遠さんが、必要だって伝えないと」

「伝わるかな?」

「伝わったとして、どうするの?高遠さんを縛り付けるの?ずっと一緒にいたいけど、重荷にはなりたくないな」

「なんかどっちもどっち?

お互いが相手に無理させてるって遠慮してる?

でもどちらも勘違い?

ホントはお互いが、好きで喜んでしているのに」

「言われてみれば、そうだね。

私達は生活の面倒を見てもらってるって、引け目に感じて、高遠さんはあっちの面倒を見てもらってるって、引け目に感じてる。

高遠さんは、きっと面倒を見てるなんて思ってないんだろうし、私達も面倒を見てるなんて思ってない」

「なら、しっかり言葉で伝えないとね。

言わなくても伝わるなんて、甘い考えは捨てないと」

「誰が言う?」

「皆で言えば良いと思うよ」

「それが良いかもね」

「そうしよ」

「そうだね。

皆で気持ちを伝えた後、これからの事をしっかりと話そ。

高遠さんだけに背負わせるんじゃなくて、皆で話し合って決めていこう」

「そうだね」

「さんせー」

「で、次は誰だっけ?何で攻めるのかな?」

「由香里さんだよ」

「攻めるなんて、そんな…」

「何でも似合いそうだけど、チャイナとかは?色気ヤバくない?」

「ナースとかも似合うね」

「正月だし、巫女服に狐耳でしょ!」

「良いね!」

「恥ずかしいですし…」

「高遠さん、喜ぶよ?」

「喜びますか?それなら…」


こうして女子会は盛り上がっていった。

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