第2話 終わりゆく日常

高遠雅人 46歳 重度訪問介護の介護士として、働き始めて1年、今日は比較的新しめの現場(3回目)の仕事を終えて、帰宅しようとしていた。

今日の現場は、午前10時から午後10時までの12時間支援が必要なので、支援の終わったこの時は、ちょっとした解放感を感じられる。

ただ明日の現場が、午前8時からで通勤も2時間かかるので、あまりゆっくりしてもいられない。

まあこの時間なら、車も少ないだろうし1時間位で帰れるだろう。

睡眠時間を確保するために早く帰るかな、と早速愛車のSUVに乗り込んで発進させる。

やはり夜中なのと、山に近い田舎だからか走っている車は少ない。

今も信号待ちで、前に1台いるだけで他に車は見当たらない。

…青信号に変わったのに、前の車が一向に走りださない…赤信号に変わってしまった。

俺は気が小さいので、中々クラクションをならす等の行為が出来ない。

だって嫌じゃん?怖い人が乗ってたら。

…また青信号に変わったが走りださない…これは仕方ないよね?覚悟を決めてクラクションを鳴らしてみる。

「ブアーーーン!」

思ったよりも大きい音が鳴って俺が驚いた!

鳴らした事が無いから、どのくらい押せばいいのか分からなかった為、かなり大きく鳴らしてしまった様だ。

ちょっとドキドキしている。

すると前の車から2人の男が降りてきて大きな声で何か叫んでいる。

怖い!

俺は慌てて車をバックさせてから、対向車線にはみ出して前の車を追い越した。

ドン!

左後方から鈍い音が鳴った。

バックミラーを見てみると、男の1人が足を上げた状態で映っていた。

たぶん車を蹴られたらしい。

怖い!

文句を言う度胸も無いので、そのまま走りながら後方を確認すると、男達は車に乗り込み追いかけてくる。

ヤバい!怖い!

新しい現場のため、土地勘もないので慣れない道を必死に車を走らせる、後ろの車はクラクションを鳴らしながら、ハイビームで照らし追いかけてくる。

怖い!ヤバい!

もう恐怖の感情しかわかない状況だ。

道も山道なのか、登り坂でカーブも多い。

車を走らせている事事態が恐怖だ!

その後も逃げ続け、道が下り坂になってきた。

バックミラーで後方を確認すると、まだ追いかけてくる。

早く諦めてくれ!と思いながら前方に視線を戻すと、目の前にガードレールが迫っていた。

慌ててハンドルを切ろうと思った時には衝撃が襲い、直後に車は空を舞った。

そのまま落下する感覚を全身に感じる。

ハンドルを強く握りしめ、身体を硬直させるしか出来ない。

何も考えられないまま、強い衝撃を感じてそのまま意識を手放した。

―――

この惑星で初のモンスター討伐が確認されました、ステータスを付与します。

この惑星初のモンスター討伐特典としてユニークスキル獲得経験値アップを付与します。

スキルツリー解放前のスキル獲得を確認しました、特殊ツリー全能樹を解放します。

全能樹の解放に伴いユニークスキル獲得スキルポイントアップを付与します。

レベルアップしました、HP・MPが回復します。

レベルアップしました、HP・MPが回復します。

この惑星初のレベルアップ特典としてアイテムボックス(S)のスキルを付与します。

……

「マジか、ヤベェよ!」

「知らねえよ!勝手に事故っただけだろ、行くぞ!」

男2人は車に乗り込み走り去って行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る