この葉の海

一粒

はじまりのウタ

ひらひらと落ちた葉が積み重なる様に、体験した思い出が積み重なっていく。

幾重にも広がる枝の幹が、同じ木の先の事などとは、落ち行く葉の一つとなって、初めて気がつくことが多い。

隣の枝が、まるで関係のない木の先であるかのように勘違いをして、澄ましてみたり。

ずいぶんと遠くの別の木の葉であるかのように錯覚して、あげつらう私がいた。

力尽きて、枝から落ちた私は、ただ1つの木の葉の1つに過ぎなかったことを知る。

聞こえてきていた言葉も、目に映るすべての葉も幹も枝も、すべて私。

すべてが終わった後、ひらひらと舞い落ちる最中、すべてを知る。

折り重なる幾重にもなる葉の絨毯も、時間を掛けて砕け散り、時を重ねて溶けて1つになる。

私と言う存在が、姿形を失い、溶けてなくなる。

私が溶けて、それが栄養になり、また新たなる命が始まる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る