第2話
夜が深まるにつれ、友和の家は静かで穏やかな空気に包まれていた。友和はソファに腰掛け、眠りにつく猫たちを見守りながら、自分の人生について考え込んでいた。ミリムが膝の上でゆっくりと目を閉じ、モグは足元で丸くなっていた。
「ハナ、君たちがいてくれて本当に良かったよ。」友和はサビ柄のハナを撫でながらつぶやいた。ハナは静かに目を開け、彼の声に耳を傾ける。
「ねえ、ハナ。もしも何かあったら、君たちを守ってくれる人を見つけるからね。」そう言いながら、彼は少し寂しそうに微笑んだ。ハナは優しく彼の手に頭をすり寄せ、その安心感に友和は心から感謝した。
その時、友和の胸に突如として痛みが走った。彼は息をするのも苦しくなり、ソファからゆっくりと立ち上がろうとしたが、力が入らない。猫たちも何かを感じ取ったように目を覚まし、心配そうに彼を見上げた。
「大丈夫、みんな... ただ少し...」友和の言葉は途切れがちで、彼の視界は徐々に暗くなっていった。最後に見たのは、心配そうに駆け寄る猫たちの姿だった。
意識が遠のく中、友和は自分の一生を振り返り始めた。幼い頃の家族との思い出、学生時代の友人との楽しい日々、そして鬱病との闘い。それら全てが彼の心を温かくもせつなくさせた。
特に、猫たちと過ごした時間は彼にとっての光であり、彼らがいなければ乗り越えられなかった困難も多かった。彼は彼らに囲まれて、本当に幸せだったと感じていた。
そして、彼の意識が完全に遠ざかる瞬間、彼は自分がどこか全く異なる場所へと連れて行かれていることを感じた。その場所は戦国時代の日本、彼が新たに生を受ける地、久留米であった。
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