異世界を追放された悪役令嬢ローズマリー、VTuberになる。

海猫ほたる

最初のざまぁですわ。

第1話 このわたくしが追放ですって⁈

「ローズマリー・エルヴァロイザ!お前との婚約は破棄する!」


 城内に響き渡る声でそう叫んだのはハル様、ハロルド・アルカヴィッタ王子でしたわ。


「ど、どういう事ですの!ハル様……」


 わたくしは何が起きたのか分かりませんでした。


 今日は本来なら、来賓のお客様にわたくしたちの婚約を発表するはずでしたのに。


 その時、ハル様の琥珀色アンバーの瞳がキラリと光を放ったのです。

 ハル様は、その綺麗なホワイトブロンドの髪をふわりと掻き上げ、口角を上げてにやりと笑いました。


 そして、ぱちんと指を鳴らしたのです。


 ハル様の鳴らした指の音に呼応するように、コツ、コツと、わたくしの後ろから誰かゆっくりと歩いてくる音が聞こえてきました。


 わたくしの前に姿を現したのは、わたくしのよく知る女の子でした。


 赤い髪をポニーテールにした、濃褐色ヘーゼルの瞳と、頬にそばかすが残る、あどけない少女。


 わたくしと、そして、ハル様とも同じ学園の同級生。


 なぜか、平民の出なのにわたくし達と同じ学園に編入していたその女の名は、ソフィーリア・ファレステル。


 ソフィと呼ばれているその女は、あろう事かハル様の元まで歩いて行き、あろう事かハル様の腰元に腕を回したのです。


「ハル様……どういう事ですの……その女は……」


「ふっ……驚いているな。無理もない。だが、ソフィが全て教えてくれたぞ。お前の……お前の恐るべき計画の事をな!」


「計画?計画とは何ですか!わたくし、何も知らないですわ」


とぼけるなっ!ローズマリー、お前が邪神ジャラドボステフを復活させようとしている事は、分かっているっ!」


「え……ええっ?」


「だがもう終わりだ!お前の計画の全てはこのソフィが教えてくれたのだからな!」


「な、何を言っているのか分かりませんわっ!その女がおかしな事を吹き込んだのですっ!目を覚ましてくださいハル様っ!」


「ふ……目を覚ますのはお前の方だローズマリー。お前との婚約は破棄する。そして……」


「そ、そしてなんですの……」


「この俺、ルクネア王国の王子であるハロルド・アルカヴィッタの命により、ローズマリー・エルヴァロイザ。お前を、国家反逆の罪で投獄する!」


「な、何ですってえええええっ」


 こうして、わたくしは捕えられてしまったのですわ。


 エルヴァロイザ公爵家の令嬢であるわたくしが、こんな狭く暗い地下牢に捕らえられるなんて、何かの間違いですわ。


 すぐにきっと、お父様が助けに来てくれるに決まっていますわ。


 ですが、何日経っても助けはありませんでした。


 そして数日の後、ようやくわたくしは外に出る事が出来たのです。


 ですが、そこに待っていたのは、またしてもあの女でしたわ。


 あの女、ソフィーリアは今や、ハル様の隣でハル様を好きな様に操っているのです。


 何という事でしょう。


 ソフィーリアが何かを囁くと、ハル様は大きく頷くのです。


「ローズマリー、お前の処分が決定した。ソフィが良い事を提案してくれたのだ」


 嫌な予感しかしませんでした。


「ローズマリー、安心しろ。命までは取らない事にした。お前を、異次元に追放する事にした」


 異次元……それはどこなのでしょう。


「そ、それは……わたくしが、このルクネア王国ではない、どこか別の場所に行かなくてはいけない……という事ですの?」


「そうだ。魔導士達よ!」


 ハル様が号令すると、黒いフードを被った男達が数人現れましたわ。


 黒フードの男達は、わたくしの周りを取り囲む様に立ち、一斉に呪文を唱え始めましたの。


「ローズマリーよ、この呪文が終わる時、お前は異世界に転送される。どこに飛ばされるのかは誰にも分からない。運が良ければ、まともな世界に転送されて生き延びるかもしれない。運が悪ければ時空の狭間で永遠に彷徨い続ける事になるだろう」


「それはイヤですわ!」


「悪いが、もう決まった事だ。だが、悔いるなら己の行いを悔いるのだな。邪神復活などという大それた計画を画策などしなければ良かったのだ」


 黒フード達の呪文はどんどん早口になって行きます。


 異界への転送呪文が完成に近づいているのです。


「そんな、わたくしは計邪神の復活なんて、画策などしていませんわっ」


 わたくしの周りに、バチバチと光の筋が走っています。


 光の筋はどんどん増えて行きます。


「言い訳なら、向こうで好きなだけするが良いまあ、生きていればだがな。では、さらばだ」


 そして、わたくしの視界が真っ白になって、何も見えなくなりました。


 どうやら、転送の魔法が完成した様です。


 わたくしの意識が、薄れていきました……。


 ああ、わたくしは……どうなってしまうのでしょう……


……


……


 あれから、どのくらいの時間が経ったのでしょう。


 わたくし、まだ生きている様です。


 目が覚めたら、そこはルクネア王国ではない、どこか別の場所でした。


 わたくしは地面に倒れていた様です。


 見上げると、周りには石作りの高い建物がたくさん立っていますわ。


 見た事がない建物ばかりですわ。


 異国の様ですが、どこの国なのかさっぱりわかりませんですわ。


 ああ、もうハル様に会う事が出来ないなんて……


 ハル様、あんなに優しかったのに、どうして変わってしまわれたのでしょう。


 やはりあの女、ソフィーリアが何かを吹き込んだに違いないですわ。


 ソフィーリア……平民のくせに、突然現れてわたくしから全てを奪って行ったあの女。


 一体、あの女は何者なのです……


 そう言えばあの女、最初に学園にやって来た時から、おかしな事を言っていましたわ。


 私はニホンという世界から転生してきたのだとか、この世界はオトメゲーの世界なのだとか何とか……


 全く、思えばあの女をもっと早く学園から追い出しておくべきでしたわね。


 あの女が来てからわたくし、悪い事しか起きていないのですわ。


 ……さて、いつまでもこんな冷たい石の床に寝ているわけにも行かないですわね。


 早くルクネア王国に帰らないと、ハル様が完全にあの女の物になってしまいますわ。


 ……まあ、帰り方は分かりませんですが。


 それにしても、誰かいないのかしら。


 あら、ちょうど良いところに、誰か人がやって来ましたわ。


 見た事ない姿をしていますわね。


 でも我が家のメイドのレティシアとよく似た顔立ちの小柄な女の子ですわ。


「もし!そこの人!」


 わたくしの必死の呼びかけに、女の子は一瞬ビクッとしたのを見逃さなかったですわ。


「わわっ……なんかゴミ捨て場に女な人が倒れてるっ!」


 ごみすてば……ですって?


 わたくし、ゴミ捨て場に居たのですか。


「わわっ凄い貴族令嬢みたいなコスプレした女の人だ……ど、どうしたんですかこんな所で」


「すみませんが、少し手を貸して頂けるかしら」


「あ、はい……どうぞ」


 女の子に手を差し伸べられて、ようやく立ち上がる事が出来ましたわ。


「所で、ここはどこなのです?ルクネア王国ではない事は分かりますが、どこの国に来たのかさっぱりわかりませんわ」


「く……国?ここは日本だよぅ」


「ニホン……ですか」


 そんな国、聞いた事が無いですわね。


 いえ……そう言えば……


 あの女、ソフィーリアが……たしか……ニホンから転生して来たと言ってましたわね。


 ここはあの女の生まれ故郷でしたのね。


 なら、きっと帰る手段があるハズですわ。


 わたくし、希望が出て来ましたわ。


 ハル様、待ってて下さい。


 このローズマリー、きっとルクネア王国に帰ってみせますわ。


 そして……絶ったいに、あの憎っくきソフィーリアに復讐して差し上げますわぁっ!



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以下、読み飛ばし推奨の駄文……もとい、定型文ですわ!


高評価とグッドボタン……じゃないですわ。


このわたくしの事を面白いかも……と思ったら、戯れにお星様とフォローなどしてみると、わたくし、喜ぶかもですわよ。

おーっほっほっほ!



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