「先手必勝!大剣流斬鉄斬り!」


あいつまた同じ技を使いやがった。


「それは見飽きた。焔魔法日之剣。ブースト、ダブル」


そう唱えると俺は一気に走り出す。クッソとザーコで使ったスキルは基本多重起動可能だ。

ただ、多重起動すると魔力を食うようになる。誤差だけど。


「いくぞ。闘気流赤の型炎 赤の陣灼熱地獄」


久々に闘気流を起動。使うのは「赤」属性。武装の色と同じ色だと相乗効果で強くなることがわかっていたのでその通りにする。ただ、違う色でも能力の複合や別の能力の発揮など色々できるが、別にここで見せる必要はない。

そうして俺の持っている焔之剣はさらに赤く輝き、熱を発する。そうした、らようやく大道が俺の元に来たので、剣の先で地面と並行になるように円を描く。まあ回転しただけ。それが灼熱地獄。

そうすると、音を立てずに剣同士がぶつかる。

いや。

交差して大道の大剣が真っ二つになって、長さが半分になった。


「なんだとっ!お前まで俺の剣をきるのか!落ちこぼれの癖に!」


…そう。俺は昔(王国時代)は、錬成の力が強力だと気付きつつも、その力をどうやったら上手く活かせるかばかり考えていて、戦闘を疎かにしていたのであまり強くなく、落ちこぼれと呼ばれていた。


「それがどうした。お前は過去しか見てないのか?」

「ちっ!ああいえばこういう。そういうところがウザいんだよ!」


コイツまさか俺の戦略に引っかかった?俺と会話させて、その隙にシオンに天道を攻撃させるものだったが…うまくいってら。あいつ馬鹿か?俺は天道と会話がしたいので、大道にはご退場願おう。


「焔魔法日之咆哮サンライト・ブレス


焔魔法日之咆哮。雫魔法で言うドラゴンドロップ的な感じの必殺技だ。

炎の龍が生成されその口からブレスが放たれる。もちろんまともに受けたら即死だが、ちゃんと手加減してあるので、大道は場外に飛ばされた。

さて、次は天道かな〜と思ってたらシオンが飛ばされるのが見えた。これは場外かな。まあそっちの方が都合がいいんだけど。


「さて。残ったのは俺たちだけだな。天道」

「そうだね。星守。君は今まで何をしていたんだい?国王の話だと、行方不明だったんだけど」


あの野郎。そんなことほざいてたのか。そういう話は向こうでしてもらうので、解答はしない。

そのまま焔之剣を構える俺に対し、天道は聖剣を抜き放つ。


「いくぞ。ブーストクアドラ+ボム・闘気流青の型凪、青の陣明鏡止水」

「聖魔法祝福べネディクション・王剣流連王斬!」


俺はブーストを4重展開してボムで後押し+青の型、青の陣で破壊力を底上げ。天道は、エンチャント魔法で攻撃力を上げ、1瞬で7回切る連王斬を放つ。

同時に剣を振り剣が混じり合う。剣同士で火花を散らしながら力の押し合いをすると思っているのだろうが、あいにく今は青の型の使用中なので、相手の力をうまく流す。天道はバランスを崩したので、そのままとどめを刺す動きをする途中で詠唱を開始する。


「それは世界を始めた原初の炎。全てを破壊する創造の炎。すべてをやり直す始まりの炎。複合魔法ノヴァ・オブ・ディメンジョン」


長い長い詠唱を終え俺が発動するのはノヴァ・オブ・ディメンジョン。高難易度(ロストマジック)の次元魔法、時間魔法。そして世界の始まりであるビックバンに最も近い(諸説あり)爆炎魔法で構成された。いわば世界を作る魔法。もちろん俺が作ったので世界の設定は俺が自由に操れる。これがあの創設神に交渉されない唯一つの方法だ。

発動したいものを発動したので、焔之剣を解除する。

天道は驚いた様子でこちらを見ているが気にせず話を始める。


「俺は今、この世界の創造神となった。戦うだけ無駄だ。さて、じゃあお前の質問に答えようか。まず俺は行方不明ではなく、追放された。もちろん国王にだ。その先のダンジョンで力をつけ、現状に至る。質問は?」


力をつける=亜神になるなのだが、こいつに話すわけにはいかないので、話さない。


「じゃあここは星守の世界ってわけか。そのダンジョンでどんな敵と戦ったらそんな技を習得できるのか気になるよ」


意外と冷静なようだ。


「それから。一つ忠告だ。今のお前だと真の敵はともかく、魔王すら倒せない。今のだけどな。覚醒してるんだろ?」

「なっ!なんで君がそんなことを知っている!」

「それは話せない。お前はまだ繋がっているからな。他に質問あるか?」


一様最後に慈悲で聞いてやる。別に殺さないけど。


「これからどうするんだい?」


なるほど。そう来るか。まあ決まってるわけじゃないし、これなら話してもセーフだろう。


「これから魔王に会いに行く。そして、俺の仲間にする」

「なんだと!?それじゃあ君は僕たちの敵になる度でも言うのかい!?」


何を当たり前のことを。


「ああ。今のままだといずれ敵対する。ただ、俺は手加減するつもりはない」


これが俺の出した結論。妹であれ幼馴染であれ、敵対したら容赦なく殺す。そう誓った。


「そうかい。大会が終わったら敵同士だね。ちなみに雫と梓は王国を出て旅をしてるみたいだよ。多分君と敵対することはないと思う」

「、、、そうか。とりあえずこの試合は俺の勝ちでいいな」


正直雫と敵対するシュチュエーションが想像できなかったのでありがたかった。


「ああ。今回は負けを認めよう」

「なら。クローズ」


そう詠唱すると、世界が崩れ始め、元の世界に戻る。


「ぼくの降参だ」

「ここで決着!勇者天道選手が降参を宣言しました。この大会で降参を使用したのは2度目となります!」


そんな言わんでも良くないか?なんか天道がかわいそう。


「それでは、時間も押しているので次に試合を始めます。次の試合は〜」


そこから試合が続いていく。総当たり戦なのでめちゃくちゃ長い。俺の番もきたが特に手応えもなく、圧勝した。


「続いての試合が最後となります!シオン選手とツカサ選手のペア対クレアーレ選手とストルクシ選手のペアの対決です!」


ここでとうとうクレアーレとスクルトシとの戦いだ。2人とも見た事ない技を使うが、大体わかってきたので問題ないだろう。

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