最強の錬成職(仮)
篠原 亡
いつかの
エピローグ 敗者
男と女が対決している。
対決といっても、決闘ではなく世界の運命をかけた対決だ。
二人がいる空間は、真っ白な空間だったが、いたるところにひびが入っている。本来破壊されることのない空間が破壊されていることから、二人の実力がわかる。
男は鏡のような剣と血のように赤黒い剣を持っている。
女は左に天使の羽、右に悪魔の羽が3対に生えている。手には純白の剣と漆黒の盾を持っている。二人とも血まみれだったが、戦闘は十分続行できる。
男が走り始める。二本の剣を振るうと、赤黒い槍が無数に展開され女に向かって飛んでいく。だが、女が漆黒の盾を前に出すと、槍はすべて消え失せてしまった。
何回か同じことをやってきたのだろう。男は動揺せずに女に向かっていく、男が剣の間合いの外から切りかかる。本来は切れないはずなのだがそこに斬撃が発生していた。女は盾で斬撃を防いだ後、剣で切りかかる。その剣筋は素人のものだった。
男はその剣をよける。しかし、男の胸に一本の赤黒い筋が入る。そこから血がどくどくと流れ出す。
男は舌打ちをすると、何か唱える。その瞬間、男の傷がふさがる。女はたて続けに剣を振るう。
男はすかさず剣を胴体の前で十字に組む。次の瞬間、男は吹き飛んでいった。
男はバランスをとって衝撃を受け流すと、また何かつぶやく。その瞬間、男の周りに黄色の靄がかかる。男が1歩を踏み出す。次の瞬間、男は女の目の前にいた。そのまま二本の剣で攻撃をする。女は盾で防ごうとするがその身に攻撃を受ける。女の体に十字の傷ができる。直後にまるで時間が戻るかのように傷が消えていく。だが、その傷は完全に治らなかった。
今度は女が舌打ちをした。男がすかさず女に切りかかる。女は盾でその攻撃を受けつつ、剣で反撃をする。その攻撃は素人のままだったが、速度が違った。放った本人でさえ見えないほどの速さだった。その斬撃は男が持っている剣を両断し男に傷をつける。すぐに傷を癒すが、完全に治らなかった。鏡のような剣は灰になって消えたが、血のような剣はそのまま修復した。男は剣一本のまま女に向かっていく。
あれから何年たっただろう。奴と俺の戦いは無限に続くかと思われた。だが、その時が来てしまった。俺の武装に限界が来てしまった。俺が作った武器は無限に等しかったが、あくまで有限だった。奴の持続力の前に武器が尽きてしまった。すべてを見切られ、破壊され。だんだんと俺は追い詰められていった。このままだと俺は死ぬ。だが、最後にできることはある。
男は追い詰められていた。手足が動かなくなっていた。女がゆっくりと近づいてくる。これ以上抵抗するのは無駄だと思ったのか、男は何もしない。女はゆっくりと剣を振り上げ、そのまま振り下ろす。男に剣が当たる寸前、男は最後の力を振り絞って間合いを取る。そして残りの魔力を振り絞り、つぶやく
「
その瞬間。女は男の首をはねる。男の首が宙を舞う。男は、
笑っていた。
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