第15話 はい、論破

「...やっちまったなぁ」と、思わず頭を抱える。


 何してんだろ、俺...。

憂華と...。いやいや、あれはその...なんていうか...お互いにその...ね?と、見えない誰かに言い訳を始める。


「...はぁ」と、ため息をつく。


 そうして、全ての気力を無くしてしまっていると、携帯がバイブする。

通知が一件。


『今日、宗也をレンタルしていい?』8:15


「...はい?」


 ◇


「おっ、キタキタ。おっそーいんですけどー。レンタル彼氏が近くとか論外なんですけどー」


【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093078140573531


 珍しく白を基調としたおとなしめの服を着てきた。

少し面を喰らっているとちょっと恥ずかしそうにする。


「...何?」


「いや、そういう服はちょっと珍しいなと思って...」


「...別に。ただの気分転換だから。私だって元々こういう服くらい持ってたし」


 後ろ襟についているタグについては触れない方向で行こうか...?


「襟にタグついてるぞ」


「え!?//」


「取ってあげるから、動くなよ」


 そうして、髪をかきあげて俺に取るように要求する。


「は、早く...」


 仕方なくそのタグを取る。

そして、あえて何も言わずに居ると勝手に言い訳を始める。


「こ、これはその...わざとって言うか...。ほら、たまに帽子についてるあの...ロゴのシールをあえて取らないとかあるじゃん?私的にはそういう感覚っていうか...って、なにニヤニヤしてんのさ...」


「じゃあ、今取ったことでその理論は破綻したね。はい、論破」と言った瞬間、持っていた日傘で思いっきり殴られるのだった。


「ぶほぉ!?!?...ってぇ!!!殺す気か!」


「殺す気だった。でも良かったね。生きてて」


 こ、こいつ...。

そういえば昔から無駄に馬鹿力だったんだよな...。


「...てか、俺はレンタル彼氏とかやってないんだけど」


「じゃあここに何しに来たの?」


「いや...まぁ、暇だったし。てか、外に出て大丈夫なのか?」


「別に。日傘があれば大丈夫。昔ほどはひどくないし。ちょっと日光浴びるくらいならヒリヒリするぐらいだから」


「そうなんか。それで?どこに行くんだ?」


「うーん...」


 え?まさかのノープラン?


「今日はね、行きたいところが何個かあるの」


「...そうなのか」


「ひとまず、カラオケに行こう」


「おう」


 お互いにアニメ好きでボカロ好きということもあり、中学や高校に時代に流行ったちょい懐メロで盛りあがる。


「はぁ...〜。すっきりしたー」


「だなー。あんまりこういう系好きな人少ないから」


「そんで?この後は?」


「ネカフェでも行こっかな。最近見れてない漫画結構溜まってるから」


「りょーかい」


 そのまま駅前のネカフェに入る。

すると、慣れた手つきで会員証を取り出して、完全個室の防音付きの少し広めの部屋を取る。


「ネカフェとかよくくるの?」


「まーちょいちょい。何で?」


「いや、慣れてたからどうなんかなー?って思って」


「まーねー。早く部屋に行こ」と、グイグイと俺の手を引っ張る。


「はいはい」


 そのまま漫画を取って、部屋に入る。


 すると、寝転びながらさっそく漫画を読み始める凪。


 更に寝転びながら足をパタパタさせているせいで、パンツがチラチラと目に入る。


 勘弁してくれ...。

昨日あんなことあったばかりでそんな格好されると...。


 なんとか理性を振り絞り、「パンツ...見えてるぞ」と、注意する。


「...ん?別にいいよパンツくらい」と、辞めようとしない。


 こいつ...!もう仕方ない。俺はパソコンでもいじろうと、適当にニュースの記事を眺める。


 へー、支持率また下がってんだーとか、適当に眺めていると、急に後ろから抱きつかれる。


「ちょい!!何してんの!?//」


「...馬鹿。パンツ見えてんのに何でパソコン見てんのさ」


「はい?」


「...パンツ見なさいよ」


 どうやら、パンツを見るが正解だったようです。

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