第2話貧乏
僕の家は貧乏だった。
農家だから、食べるものには困らないが、服は親戚のお古ばっかり。
靴はスニーカーは買ってもらえず、ずっと白いズックだった。
良く同級生に馬鹿にされたが、慣れてしまった。
祖父が入院し、母は独学で介護福祉士の免許を取り、老人ホームで働きだした。
兄弟で料理を作り、食べていた。
母は、料理を作っていなかった。ある日の晩は、僕たちは材料も無く、腹を空かせていた。
遅出で夜の9時に帰宅した、母は100円の小さなうどんを一つ買ってきた。
僕らの食事は終わったと思っていたのだ。
僕はそれに腹を立てて、うどんを外に投げ飛ばした。
「自分のモノだけ買ってきて!」
と、たった100円のうどんを母に食べさせなかった。
あれは、未だに悪い事をしたと反省している。
高校に入ると僕はアルバイトを始めた。その後、弟もアルバイトを始めた。
しかし、母は僕らのバイトの給料を毎月借りていた。
ここまで、貧乏なのか?
理由は、祖父の入院費と農業が生活を圧迫していたのだ。
僕は高校時代、将来を危ぶんだ。
今後、家族に数百万渡すのだが、それはそれから10年後の話である。
バイト代を借りるときも、あの顔は忘れられない。
貸したら、泣いて「ありがとう」と、言った。
母は、贅沢は絶対にしない。ただ、お金が足りないだけなのである。
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