らら

@Kyomini

第1話 らら 1話 完結

1 ずっとひとりで くらしてきた デノは きままな おじさん。

  きょうも いっしゅうかん の たび から かえってきた。

  

  おや おや ?

  いえの ゆかした から くろねこが でてきたぞ!

  おや おや ?

  その うしろから 6ぴきの あかちゃんねこ が でてきたぞ!

  

  ママねこは やせて ガリガリ。

  あかちゃんねこたちも とっても ちいさい。

  デノ が いない あいだに うまれたみたい。


  わーお、こりゃ たいへん!


  デノは びっくりぎょうてん。


  ママねこは、まっくろねこ。

  

  あかちゃんたちは 4ひきがまっくろねこで

  2ひきは はいいろねこ。


  




2 どうしよう??デノはかんがえた。

  

  うん、まず、ミルクを あげなくちゃ。

  おなかが すいてるぞ。

  こんなに やせてるぞ。

  きっと なにもたべていないんだ。


  ママねこちゃんと 6ぴきのあかちゃんねこたちに ミルクを

  あげて、デノは ぼろぼろなきだした。

  はなみずも、だらだら ながれてる。

  ハーーックション と くしゃみも とまらない。


  そう、デノは ねこアレルギー・・・

  ねこが ちかくに いると なみだがとまらなく なってしまうんだ。






3 それでも デノはかんがえた。

 

  このねこたち・・・ほうっておいたら しんじゃうよ。

  

  ねこセンターにつれていったら・・・・どうなるんだろう?

  やさしいひとに かってもらえるかなあ?

  だれも ひきとって くれなかったら・・・・どうなるんだろ?


  デノはけっしんした。

  

  うちで、かおう・・・・

  なみだが でたって、はなみず でたって かまわない。

  うちのゆかした で うまれた ねこたち

  うちで かおう。


  そうして デノ は みんなになまえをつけた。


  くろねこたちは クップ、ウウン、ノー、ノン、 

  にひきの はいいろねこは  ララ と ハン。 


  そうして まいにち ねこたちの おせわをした。


  きょうも デノは なみだを ぽろぽろこぼしながら 

  じぶんで つくった あかいボール、ぽんぽん なげてあかちゃんねこたち と 

  あそんでやった。

  

  そうして、ひにひに、ねこたちと なかよくなっていった。





4 まいにち なんだか たのしい デノ。



そんな あるひ、みしらぬねこが やってきた・・

  くろと はいいろの ぶちねこ。おおきいよ。


  あ、パパねこだ!!


  どこからきたのか わからないけど、そのパパねこは ママねこに いこう!と いったみたい。

  ママねこは パパねこのあとを ついていった。

  その うしろを クップも ウウンも、ノーも、ノンも、ララも、ハンも、ついていった・・・・・


  いってしまうの?

  どこ行くの?

  みんなで のらねこ に なるのかなぁ・・・・・・・・・・・・・


  どこ行くの?

  どこ行くの?

  デノは ぽつんと ひとりぼっち。



もう、あそばないの?

  みんなのこやは?

  みんなのおもちゃは??

  

  もう いらないの?


  



5 それから10か、たった・・・・

  

  デノは なんだかすごく つまらなかった。

  あんなに ねこがにがてだったのに。

  ねこといっしょだと なみだが でて とまらなかったのに。

  それでも ずっと あそんでいたかった・・・・・・・



ねこたちは かえらない。

  ねこたちと あそんだ ベランダで デノは まいにち まっている。



  みゃぁ

  

  あかちゃんねこの なきごえだ!


  はいいろねこがいっぴき かえってきた!


  デノには それが ララだと すぐにわかった。

  ララは くびのしたに しろい みかづき が あったんだ。

  それに いとつきあかボールが いちばん すきだったんだ。


  

  ほかの ねこたちは とうとう かえって こなかった。

  でも ララだけが かえってきた。





6 ララと デノは すっかり なかよしになった。

  デノは ララが いえの なかにはいれるように ちいさな ねこドアを つくった。


  ララは ちょっと へんな ねこ。かわったことが できるんだ。

  

  デノが しごとに いくときは とちゅう まで おみおくり。

  まえあし あげて バイバイし、そして いえまで もどってく。

  

  よるは デノの かえりを まって 「あそぼ」となく。

  キャッチボールが だいすきで いまでは とっても じょうずになった。

  デノの なげる えさに だって みごとに ジャンプキャッチ!


  くしゃみを こらえて デノが だきあげたら

  だいすきな おひげ を ぎゅーーっと ひっぱる。

  おやすみを いうと デノの ほっぺを なめにくる。


  ララは デノの ことばは なんでも わかる。

  そして「みゃぁ」と へんじする。


  デノ と ララは いつもいっしょ。



  

7 ララが こねこに なった ころ。

  

  デノの みぎうで いたくなった。

  どんどん どんどん いたくなって それから 

  どんどん どんどん ふくれていった。

  

  びょういんに いったら おいしゃさんが いった。

  

  「ああ、こりゃ たいへん。とっても わるい。きらなくちゃ。

  このまま だったら しんじゃうよ。

  でも、しゅじゅつを したら・・・・もしかして・・・・・・」


  もしかして?

  

  「みぎうで、うごかなく なるかも しれません。」


  デノは うーんと かんがえた。

  それでも やっぱり きらなくちゃ。


  


  「ララ、むっつ ねたら びょういんに いくよ。

   それから、ななつ ねたら かえってくるよ。」


  みゃぁ と ララが へんじ した。






8 つぎのひ、どうしたことだろう。

  ララのすがたが みえなくなった。

  

  デノは あちこち さがした。

  

  デノは なんども ララ と よんだ。

  にわに でて よんだ。

  みちに でて よんだ。

  いつも ララが あそぶとこ ぜんぶ いって よんだ。

  

  ララが うまれた いえの ゆかしたに はいりこんで

  まっくらな なかで ララを さがした。


  でも ララは いない。

  どこにも いない。


  

  デノはかんがえた・・・・・・・・・

  ひとりぼっちで いっしゅうかんも るすばん が いやだったのかな?

  だから、どこかへ いってしまったのかな?

  

  もう、かえってこないのかな?






9 デノは とても とても  さみしかった・・・・・・・・・・・・

  ずっと ひとりで くらしてきた きままな おじさん だったのに・・・・

  いまでは ひとりは さみしすぎる。

  

  ララがいない・・・・・

  さみしすぎるよ。


  あと、みっか・・・・・・・・・

  にゅういん して しまったら、もう ララに あえない きがした。

  このまま、ずっといえにいよう。

  ララが いつ かえってきても いいように。






10 あと ふつか。


   よる。

   かすかな こえ が した。

   

   みゃぁ!

   ララだ、ララが かえってきた!

   

   なんとしたこと!

   ララは、どろどろになって、やせこけて、そして じょうずに あるけなかった。

   ぴょこん、ぴょこんとあるきながら、デノのところにかえってきた。


   デノ は ララを だきかかえ、そして すぐに りゆうが わかった。

   ララは、くるまに はねられたのだ。

   うごけなくなった ララは、きっと どこかの くらい ところで、じっとがまんしていたのだろう。

   

   そして やっとすこし あるけるようになったから、デノのところに かえってきてくれたんだ。


   

   でも デノが しらないことが あった。

   ララは デノが にゅういんする びょういんまで いったのだ。

   6つのひ 、まいにち、デノの ところに いって、みゃぁって あいさつしようと かんがえて。






11 デノは どろどろの ララを きれいに ふいてやって、それから あたたかい もうふで くるんだ。

   

   そして ララのミルクの おわんに、ミルクと はちみつを たっぷり。

   やわらかい パンも ちいさく ちぎって いっぱい いれた。

   これをたべたら けがもなおる。

   じきに もとのげんきな ララになる。


   ララは おとなしく、パンいりはちみつミルクを のんだ。


   デノは びょういん に いるあいだの ララの たべものを よういした。

   パンいりはちみつミルクも いっぱい つくった。

   すこし げんきに なったら たべられるように と キャットフードも いっぱい おいて

   みずも たくさん よういした。

   


   こんな ララを おいて にゅういんするのは とっても しんぱい だったけど、

   じぶんも げんきになって、ララと いっぱい あそばなくちゃ、と おもった。


   




12 しゅじゅつの ひ が やってきた。

   

   デノはすこし こわかった。

   うでが うごかなくなったら どうしよう??

   このまま、いえに かえって、くすりを のんで がまんしようかな?

   

   いやいや、ぜったい だいじょうぶ。

   かならず なおって、そして ララと うでずもう するんだ。


   デノは しゅじゅつを うけた。


   

   ララは いえで、ねむっていた。

   ふかふかの クッションを デノが よういしてくれていた。

   そのうえで ねていると、いたいところが すーっときえて いくようだった。

   

   めが さめると、パンいりはちみつミルクを たべた。

   すこしずつ たくさん たべられるように なっていった。



   ララは しっている。

『あの びょういん』に デノが いることを。


   みやぁ・・・・・ちいさな こえで ララは ないた。


その こえは デノに とどいた の・・・・・・・・・・


   :::::::::::::::::::::::::::::::::::  


   みっか たった。デノの みぎうでは うごいた。


   


   いっしゅうかん。


   デノ と ララは がんばった。






13 やっと いえに かえった デノを げんきになった ララが でむかえた。

   

   みゃぁ、みゃぁ・・とララがなく。

   みゃぁ、みゃぁ いいながら、まえあしで、じぶんの おわんを おしてくる。

   れいぞうこの まえに いって、みゃぁみゃぁと なく。

   はちみつびんの ところに いって みゃぁみゃぁと なく。


   まだちょっと つかれている デノは ふぅっと ためいきをついて

   「わかった、わかった、パンいりはちみつミルクが たべたいんだな。

    わかった、わかった、いま つくるから」

   と いって つくってあげた。


   けれど ララは のまない。


   ララは、おわんを そろりそろりと まえあしで おして、

   おして、おして、おして、デノの まえまで、おしてきた。


   デノの かおが ほっこり わらった。

   

   そうか!

   これで、げんきに なったから、これを のめって いってるんだ!!


   デノは ララの おわんで、パンいりはちみつミルクを ごくごくのんだ。






14 ララは よろこんで

   デノに よじのぼってくる。

   

   みゃあ みゃあ みゃあ みゃあ。

   ララの げんきな こえ。


   デノは なんだか ほわーんと して、

   それから なみだが ぽろぽろ。

   はなみず じゅるじゅる。


   ぽろぽろぽろぽろ なみだが とまらない。


   でも デノには わかった。

 

   それが もう ねこアレルギーの なみだじゃ ないって!

   

   

   ララと デノは うれしくて うれしくて、うれしくて。

あはは と わらい。

みやぁ と ないた。

   

   

   「ララ!」

   と、デノがよぶと


   ララが

   「みゃあ!」

   と、へんじをした。



 


  おしまい

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