竜の軍団
@kanaisaki
第1話 神竜と神族
多くのものが、竜に祈った。過去の栄光をつかむため、未来を築くために、神ではなく、竜に祈った。だが竜がどこに生きるか。どんなものかも定かではない。
ただどこかにいて、今も息づいているとされている。ほとんど神話だった。その神話を心くだけても、信じているものは、神がすべてだというだろう。彼らが命懸けで戦っている相手は、悪魔だというだろう。
神と悪魔の最終戦争。それが予知されたのは、神話の時代に近かった。
だがたった一人だけいた。彼女は遥かな蒼空(そら)を見て、心確かに誓う。この宇宙を相手に渡せない。紙が支配する世界にさせられない。
髪は残酷だと思う。多くの人を巻き込んで、自分達の世界を作って、そこだけ平和にする。
神官を名乗るあの神達が、どれだけの悲劇を生んできたか、自分は知っているから、と。
この蒼空に輝く星が、つい得ないうちに戦いを終わらせる。それしかないと思っていた。だからこれから起こるのは、起こすのは自分の戦いでもあると。
「修羅俄様。瞑想は終わられましたか?」
「ああ。クリス、お前は戦い抜けるか」
「異なことを言われますね。あなたと共に」
「そうか。妙なことを聞いた。忘れてくれ」
「はい。では参りましょう。視えましたか?」
「これから向かう戦場ならば、伝えたはずだ」
青銀色の髪の少女に訊ねられ、応えてみているのは、鈍色の蒼空だった。どこも青くはなく、さりとて何かがないわけではない。彼女達はここに希望を描いていた。
だから今からは、平和を勝ち取る戦いに行くのだ。そして必ず勝つ。神官をすべてこの世界から駆逐して、人だけの平和を勝ち取る。そう願っていた。長くは続かなくても。
それは希望に過ぎなくても。
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