魔導専門店.犬板

しば_1632

第1話.不思議な魔法をお求めの方

古今東西どこにでも魔法を求める人はいる。

求める魔法は違えど、使う目的は違えど、魔法を求める人は絶えない。

需要と供給。需要が絶えないのなら、ここまで安定した商売もないだろう?

本当にそうだろうか?魔法を求めるやつの中には、ろくでもない奴もいるだろう。

魔導専門店の店主に必要なのは4つ

1.強いメンタル

2.広い人脈

3.膨大な知識

4.圧倒的な強さ

このどれかが欠けているのなら、今すぐに店主の座を降りたほうがいい。

なんせこの世界は、人の命なんざ砂の粒よりちっぽけで、大地の広大さが知れているからだ。今にわかるさ『魔法の強さは使い手の強さ』ってことがね。

今回はかつての仲間をよみがえらせたい人のお話。強さも弱さも使い手次第。

魔導専門店.犬板いぬいた 開店の時間です


大きな樹に囲まれて、ぼろぼろの家が建っている。

その家にはでかでかと看板が取り付けられており、その看板には魔導専門店.犬板いぬいたと書かれている。しかしその看板にも年季が入っており最近できた店ではないことがうかがえる。この森といえばいいのかジャングルといえばいいのかわからない空間も膨大な年月がかかっているだろう。

そんな人も寄り付かなさそうな、そんな雰囲気をまとった空間にも来客者はいるのだ。

「キィー」とドアが開く音がした。「いらっしゃいませ」そういうのはまだ10にも満たないような見た目の少年だ。少年は

「魔導専門店.犬板いぬいた初代店主の柴崎しばざきと申します。」

「本日はどのようなご用件で?」

と見た目からは予想できないような口調で話した。

来客者は少し驚きながらも。

「俺の名前はコンラート・ガイスラー、王国で冒険者をやっているものなのだが、」

「今日は....仲間が死んでしまって、その蘇生魔法をお願いしたい...」

今にも泣いてしまいそうである。

「精神干渉は得意ではありませんが...精神安定スピリチュアルセーブ

柴崎がそう唱えると男は少し落ち着いたようだ。

「そんな魔法も存在するのか..」


「まぁ僕の製作魔術オリジナルですが。」

「ところでそのお仲間の方の蘇生ですが、死体は回収できているのですか?」

死体回収は蘇生にとって重要な要素の一つなのだ。

「それが..」

しかしどうやら死体は回収できていないようである

「まぁお仲間様がお亡くなりになられてしまうと、動揺して本来の力は発揮できないものですしね。」

「いいでしょう、転移魔法と蘇生魔法の両方をこなせばまだ蘇るかもしれません。」


「ほんとうですか?!」


「あくまで可能性です。それと料金ですが。」

そういうと男は顔を曇らせた、

「お願いします!仲間さえ蘇らせていただいたならいくらでもお払いいたしますので!借金でも何でもします!」


「まだ僕は何も言っていませんが、うちは基本的に料金はお客様の魔術の使用方法の回収です。よって現金は結構です。というより払われても困りますので問題ございません。術式のほうにそちらの回収用のものは組み込まれております。」


「ということは?」


「つまりタダってことです。」

「やり方は教えますのでよく聞いてください。」

「まず死体を回収します、やり方はその人にゆかりがあるものを手に持ち瞬間転送テレポーテーションと唱えてください。」

「次に保険を掛けます、保存セーブを死体の前で唱えて下さい。」

「最後に転送帰還テレポートバックを唱えてください。死体がつながって動き出したら、その人に記憶があるか確認してください。無いならうちの店にまた来てください。」

「そして万が一襲ってきたら帰還ロードと唱えてください。」


「ありがとうございます!」


「では最後に情報監視ゴッド・アイ


こうしてまた一人彼の魔法の虜が増えた。

彼?彼女?は教えてもらった魔法を成功させられただろうか?

それとも失敗しただろうか?

真実は神のみぞ知る。果たしてそうなのだろうか?

この世には神はたくさんいるだろう。案外身近にも神に近い存在はいるかもしれない。おっと失礼魔導専門店.犬板いぬいた閉店の時間です

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る