Sora

@Amanoru

第1話

* まだ何も無かった時、時間だけは流れていた。この暗闇を観測するものもいなかったためそのままでも良かったのかもしれない。ある時何も無いところから何かが生まれた。無から生まれいづるものそれは、力。その無は、可能性のある無だった。その無は力をもち、うねり始めた。その力とは重力、物質がある場合万有引力になりうるものだった。そのうねりから原子が生まれた。強い重力によるうねりで時の流れは遅くなった。ゆっくりゆっくりと進む時の中ある原子がある原子と引き合い、くっついた。無の中に小さい小さい物質ができようとしている。原子と原子は引かれあった、もしくは惹かれあったというとロマンチックに聞こえるだろうか。原子たちには境がなかった。だがそこには何かがあった。その確かに存在する何かが相互作用して摩擦を起こし、電子が生まれた。電磁気力が生まれた。いつしか重力や電磁気力にも強い部分と弱い部分が現れムラができ始めた。位置関係の概念が生まれた。原子にも種類がある。異なる特性をもつ原子たち、強い力で引き合ったり、弱い力で引き合ったりするようになった。加速度、重量、加わる力。ある時、原子同士が衝突した。とてつもないエネルギーをかかえたまま。電気エネルギー、熱エネルギー、光エネルギー、大爆発。無はもう無ではなくなった。

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