スティッチのぬいぐるみ

手術をして取り去る事が出来ないのであれば癌と共存するしかない。抗がん剤で癌に大人しくしてもらい、対してきよみさんは体力を付けて延命を図るのだ。だからきよみさんが生きている限り抗がん剤の投与を受ける事になる。


だから・・

抗がん剤の副作用で失ったきよみさんの髪の毛は二度と生えてはこないのだ。

きよみさんは自分の髪の毛も髪型も大事にしていたのに・・

・・悲しいだろうな・・

そう思って・・きよみさんの好きなスティッチのぬいぐるみを買って上げた。

7000円もする大きいやつだ・・


「もう少し涼しくなったら、二階のベッドで3人で・・川の字になって寝ような。」

私はそう言ってスティッチをきよみさんに渡した。

「スティッチおいで!」

そう言ってきよみさんはスティッチを受け取り抱きしめた。

きよみさんの眼からちょっと涙が出た。


「60のバアサンが可笑おかしいよね。」と言ってきよみさんが笑う。

「何も・・何も変わって無いよ俺たちは・・」と私。

二人して笑いながら・・たちまちスティッチが家族になってしまった。


https://kakuyomu.jp/users/minokkun/news/16818093084126768975



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