Kiyomi my love
紅色吐息(べにいろといき)
砂浜の住民
朝6時・・
私は台所に行き朝のスムージーを作る。
リンゴの皮をむき適当な大きさに切る。
バナナは一本。
それに主役の冷凍マンゴーを入れる。
それをミキサーにかけると、冷凍マンゴーがスムージーを適度に冷やして、完熟マンゴーの甘みとバナナの滑らかさ、それにリンゴのさらっとした喉越しの良さが最高の飲み物になる。
我々の朝はマンゴースムージーから始まる。
午前中はきよみさんの体調が良く、軽い庭仕事や散歩をする。散歩と言っても近くを歩くのではなく、車で海に行って浜辺を散策するのだ。
先日散歩をした時に砂浜に沢山の穴が有った。その穴の住人たちはとてもシャイで我々に気が付くとサッと穴に隠れてしまう。今日こそはそっと接近して、こちらが擬木化して正体を隠し、油断をさせ彼らの正体を見てやろうという作戦なのだ。
私もきよみさんも彼らが砂ガニだという事は知っているのだが、なにせシャイなカニなので、直接姿を見たことが無い。そうなると好奇心旺盛な我々としては直接対面をしてみたいと思うものなのだ。
車を止めて日本海の砂浜を歩く・・
砂浜は広くて波打ち際までは300mほどある。
朝7時なのに日差しが強く跳ね返る陽光に汗ばんでしまう。
この時期になると、この浜ではハマボウフウが至る所で花を咲かせている。近年雨が多いのと地元の人の自然保存の努力も有ってハマボウフウが随分増えて来た。このハマボウフウは独特の風味があり食材として使われるのだが・・このハマボウフウを食べて成長するアゲハ蝶がいる。それはキアゲハだ。これだけのハマボウフウが有るのだから、どこかに居ないかと探してみると大きなアゲハの幼虫がもりもりとハマボウフウの花芽を食べていた。親のアゲハに似ていて・・ある意味美しい。
私ときよみさんは波打ち際に腰を下ろして気配を消す。そして数分・・
穴から砂ガニが姿を現した。体を半身だけ出して辺りの様子を伺っている。砂ガニとはよく言ったもので、足も甲羅も砂模様なのだ。目を凝らしても砂と同化して見つけにくい。
(画像)https://kakuyomu.jp/users/minokkun/news/16818093080389777894
波が寄せては引いて行く・・
この時間は・・
この時間こそが人生なのだ。
短いか長いかは解らない・・
ただ生きている限りは楽しく暮らす。
そういう意味では誰も同じだ。
だから・・
それで良い・・
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