198円のショートケーキ
鈴鹿なし
198円のショートケーキ
今目の前にショートケーキがある。
これは会社の帰りにスーパーで買ったタイムセール5%オフ198円のショートケーキだ。
今日は私の26歳の誕生日、年に一回生まれた日を祝う日。
小さい頃の私はこのイベントが楽しみだった。
家族と一緒にケーキを囲みながらたくさんのごちそうを食べるのが楽しかった。
大人になった今でも誕生日自体は毎年楽しみにしている。現にこうやってケーキを買っている。
でもなぜだろうか、あの頃の幸せを感じることができない。
家族がいないからだろうか、恋人でもつくれば満たされるのだろうか。
いや違うだろう。
きっといろいろなことを知ってしまったからだろう。
うれしいこと、楽しいこと、悲しいこと、嫌なこと。
いろいろ知ってしまったからだろう。
ただそれを成長というのだろう。
それを確認するのが誕生日であり、その一年でどれだけの成長をしたのかを考える機会なのかもしれない。そしてそれを数値化したものが年齢というのかもしれない。
今年も年齢が一つ上がった。
「うんおいしい。ショートケーキやっぱりおいしいな。」
そう思ったときなぜだか目の前が少しぼやけた。
198円のショートケーキ 鈴鹿なし @suzukanasi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
読書という物の見方を変えてみた話/鈴鹿なし
★0 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます