悪魔と老兵

ニセランジェロ

プロット

1997年5月、連続強姦殺人事件が発生。捜査にあたっていた刑事の一ノ関は、直観に従い捜査対象から外されたA率いる中学生3人組を追う。予想は的中し、一ノ関は3人を現行犯で逮捕する。あまりに若すぎる犯人に、世間はセンセーショナルなニュースで包まれた。


それから25年後。一ノ関は定年を迎え、第二の人生を歩こうとしていた。しかし、仕事一筋で生きてきた彼はすでに離婚を告げられており、一人娘にも満足に会えない毎日。刑事だったころの充実した日々は過去のものとなった。それでも家族との仲を修復したいと願う一ノ関は、娘が子どものころ一度だけ行った伊豆旅行に再度妻と娘を誘う。半ば強引に2人を説得し、一ノ関家は伊豆に降り立つ。


ギクシャクしたまま旅行を楽しむ一ノ関家だったが、宿泊していたホテルに見覚えのある顔を発見する。気になった一ノ関が昔の馴染に調べてもらうと、Aが数年前に釈放されていたことが判明する。一見すると更生して真面目に働いているようなAだが、一ノ関はその成長したAの眼に、昔と変わらない凶悪さを感じ取る。


昔馴染に気のせいだと一蹴された一ノ関は、家族との時間を削ってAを捜査する。その結果、当時、Aが従えていた他の二人も同じ土地にいることが分かる。そのことから一ノ関は、再度25年前の惨劇が繰り返されると予見する。


Aたちはまたしても殺人を犯すつもりで計画を立てていた。そして、Aの方も自分たちを付け回している存在に気づく。それが25年前自分を逮捕した一ノ関刑事だと気が付くのに、さほど時間はかからない。しかし、今の一ノ関はすでに引退した身。邪魔ではあるが、なにもできないと判断し計画を進める。


一ノ関は地元警察に応援を求めるが、こちらでも相手にされない。交番勤務の巡査は協力を受け入れてくれたものの、経験の浅さから逆に断る。次第に娘と妻は苛立ち始める。特に娘は父を心の底から悪く思っておらず、この機会で家族がまとまることを内心願っていたため、父の態度に嫌気がさす。それを目ざとく読み取ったAは、ホテルのバーにいた一ノ関の娘と距離を詰める。一ノ関の娘は自分が刑事の娘だということと、父にとって仕事と家族のどっちが大切かわからない、という愚痴をAに漏らす。


警察が頼れないならと、一ノ関は一人でホテルに掛け合う。ホテルの支配人はAのことを知らされ一時は協力する姿勢を見せるが、ホテルの経営のことを考えた結果、急に弱腰になり協力を断ってくる。


一ノ関は最後の手段として、Aに直接話をしに行く。Aは自身の中に殺人衝動があることを認めるが、一ノ関には止められないと宣言する。


そしてついにAたちは計画を実行に移し、ホテルに宿泊していた女子大生二人と、一ノ関の娘をも誘拐する。


娘がいないと妻に聞かされ、一ノ関は一人でAたちに挑む決意を固める。交番の巡査を脅して拳銃を奪い取り、Aたちの行方を追う。少ない手がかりから居場所を突き詰めた一ノ関は、問答無用で一人目を撃つ。続けざまに発砲するが、Aたちは連携して逃げる。追いかける一ノ関は不意を突かれ、背後から二人目に襲われる。一ノ関は刃物で刺されるがなんとか撃退する。そして最後に娘を人質にとるAを前にする。Aが言葉を発する瞬間、一ノ関は狙いを定め発砲し娘を助け出す。

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