第25話 朝の一幕


カーテンの僅かな隙間から差し込む光で目が覚める。こういう自然に起きる朝は心地良い―――「!?」


俺は目の前にある美少女の寝顔に驚くが、何とか声を堪える。そいえば昨日同じベッドで寝たな。少しずつ冷静になってくると、俺は右腕の痺れに悶えそうになった。そりゃ寝てる間ずっと腕枕だったから当然ではあるが、あまりの痺れに俺はそっとメルの頭を枕に

載せる。


《スキル 麻痺耐性を獲得しました》


「それで良いのかそれで」


俺は自身のスキルに小声でツッコミを入れる。するとベッドの方から毛布の擦れる音が聞こえてきた。


「おはよう。悪い、起こしたか?」

「おはよう。ううん、寧ろ起こしてくれてありがとう。こんなにぐっすり眠れたのは本当に久しぶり」

「そっか、なら良かった。取り敢えず食堂に行きたいが...」

「?」


俺はメルを下から上から下まで見渡す。


「昨日は特に思わなかったが、その服で外に出るのは...」


そう、メルはボロい大人用のシャツを1枚纏っているだけなのだ。しかも所々破れている。スラムとかでは普通だったが、街の往来を歩くなら少し、いやかなり浮くだろう。俺は一先ず自分の寝巻き...特に柄の無い白いの大きいシャツを渡して、自分はいつもの服を着ることにした。


「ゆーたの匂いがする...」

「すまん、臭かったか?」

「嫌、凄く良い匂い」


朝から攻撃力が高過ぎる....


「よ、よし。食堂に行くか」

「ん」



「いただきます」

「い、いただきます」


メルは俺の真似をするように辿々しく手を合わせる。ちなみに今日の朝食はキャベツたっぷりのサラダとコッペパン、コーンスープだ。


「美味しい、美味しい、熱っ!」


メルは手でサラダを鷲掴みにして口に運び、パンを齧り、コーンスープを1口、冷ましもせず口に入れて悶える。


「はい、お水」

「ごくっごくっ..はぁ...ありがと」


俺はテーブルに置いてあった冷水をメルに渡し、メルはそれを一気に飲み干す。


「大丈夫か?」

「ま、まだ少しベロが痛い」


そんなちょっとした事故がありながらも、俺たちは朝食を食べ終える。


「ご馳走様でした」

「ご、ご馳走様でした」

「この後はギルドに行くつもりだけど、何か用事はあるか?」

「特に無い。私も付いてく」

「そうだ、メルも冒険者登録してみないか?」

「私が?」

「あぁ。そうすれば一緒に依頼を出来ると思うんだが、どうだ?」

「そーたと一緒....うん、私も登録する!」

「よし決まりだ!けど、その前に服を買いに行こうか」


大雑把な予定を決め、街へとくり出す。










◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

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