第20話 メルの街案内
テスト期間終わりました!⸜(*ˊᗜˋ*)⸝
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「そういえば、なんで碧はスラムを歩いてたんだ?貧民とか犯罪者って感じじゃ無いけど」
メルは俺の隣に座って、美味ししそうに串焼きを頬張りながら尋ねてくる。
「ここやっぱりスラムだったのか....俺はこの街に
来たばっかで道とか分かんなくて、適当に歩いてたらここに着いたんだ」
「なら、私が案内しようか?」
「本当か?かなり助かるが...メルは良いのか?」
「働いてる訳じゃないし、碧のお陰で今日のご飯
を心配する必要も無くなったし、私は良いよ」
「なら、今日は街の案内よろしく頼む」
「うん、任せて。じゃあ早速行こっか」
メルは肉の無くなった串を近くのゴミの山に投げ捨て、勢いよく立ち上がり、トコトコと歩き出した。
◇
「此処が私の良く行く道具屋。商品も安くて良質だし、店主も私を差別しないからお気に入りなんだ」
俺はメルの街案内を受けていたが、その殆どが食べれる物が捨てられている場所とか寒さを凌げる所なんかだ。メルにとっては死活問題だったんだろうが、正直あまり使い所が無かった。だが、此処で
かなり有用な情報が来たな。
などと思っていると、メルは道具屋へと入っていく
「おっ、久しぶりだな嬢ちゃん」
中に入るとスキンヘッドで筋骨隆々の男が
カウンターから声を掛けてくる。恐らくこの人が
さっきメルの言っていた店主だろう。
「久しぶり、おっちゃん」
「ん?嬢ちゃん、今日は1人じゃないのか。
嬢ちゃんが誰かと一緒に来たのは初めてだな」
「俺は碧だ。メルのオススメでこの店に来た」
「碧は旅人で、この街に来たばっからしい」
「そうなのか。それにしても嬢ちゃんが他人と
そんな仲良さそうにするなんてな」
「同じ様な境遇で、碧の言う事が少しだけ良いなと思っただけだ」
「そうかい、それでも嬢ちゃんの少しだけ明るい顔を見れて良かったよ」
店主とメルの話が一段落した所で、俺は店主に
話し掛ける。
「此処に投げナイフ等は売ってるか?」
「投げナイフ...あぁ、何本かあったはずだ。少し
待ってな」
そういうと店主はカウンターの更に奥に入って行き
...20秒程で帰ってきて、カウンターに少し
短めのナイフを置いた。
「これだ。投げる事に特化したナイフだそうだ。
1本銅貨3枚だが、どうする?」
ふむ...ナイフの善し悪しは良く分からないが、
値踏みに関しては心強いスキルがある。
実は、簡単な鑑定なら目の色を変えずに出来る様になったのだ。
『鑑定』
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投げナイフ D
投擲時に、速度と貫通性に補正がかかる
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これは...Dランク、更に効果付き。これで銅貨3枚は
かなり安いのでは無いだろうか?
「在庫は何本有るんだ?」
「10本あるが...買ってくのか?」
「全部貰おう」
「それはありがてぇ。全部で銀貨3枚だ」
俺は何となく嬉しそうな店主に銀貨を3枚差し出す
「毎度あり!」
俺達は店主に見送られながら店を出た。
「ナイフ、一気に買って良かったの?銀貨3枚も..」
「あぁ、目利きには自信があるんだ。メルのお陰
で良い買い物が出来た、ありがとう」
「そっか...うん、どういたしまして」
メルは嬉しそうに少しだけ微笑む。
「そろそろ日も落ちそうだし、今日は此処で
解散にするか」
「分かった。碧は明日も来てくれる..?」
「勿論だ。同じ位の時間にまたスラムに行く。
あぁ後、念の為これを持っておけ」
そう言い、俺は青く光る小石を渡す。石の表面にはヘビのような形の模様が刻まれている。
「これは...?」
「これは昨日この街を散歩してた時に買った
魔道具だ。何か危険な目にあった時とかに、魔力を込めれば俺の持ってる魔道具に、メルの位置
が送られて来るんだ。そしたら直ぐに駆けつける」
俺はそう言って、メルに渡した物と全く同じ、
青く光る石を皮袋から取り出して見せる。
これは特待試験の前にたまたま見つけて、かっこ
良いからという理由で買ったものだ。
お値段は1セットで銀貨6枚と少しお高め。
メルはぼーっと渡した魔道具を見ている。
「こういうの貰ったの、初めてだ。ありがとう」
「どういたしまして。何かあったら直ぐに
使うんだぞ」
「うん...分かった。また、明日!」
「また明日。良い夢を」
俺達は別れの挨拶を交わし、反対方向に歩いていく
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