第7話 第1村人
「すげぇな....」
この皮袋、流石に上限はあるが、明らかに入口の
10倍は有りそうな物でも中に入れられる。
これは魔物を解体したりする手間が省けてかなり
助かるな。
中に何が入ってるか把握していれば直ぐに
取り出せるみたいだし、地竜を丸々入れても
空間が埋まった感じが全くしない。
「まさか無限に入るのか?だとしたら
チート過ぎるな。ディアナ様に感謝しとこう」
一通り皮袋の効果を把握した俺は、街を探す為に
右目に魔力を込めた。
(さっきの戦闘で魔力の使い方が分かってきたな)
魔眼を使い、近くの街を探していると、
恐らく人間の生命反応を4個程と、魔物と思われる反応を
20~30程度感知した。
「これは...戦闘中か?街の場所も教えて貰える
かもだし、見に行ってみるか」
俺は一先ず反応の合った方に向かうのだった。
―――数分後――――――
俺は第一村人発見!等と思っていたが、そう気楽な
状況では無さそうだ。
(やはり戦闘中だったか...)
近づいてみると、いかにも冒険者というなりを
している人達が、白い狼型の魔物達と戦って
いるようだった。
魔物は大体25体程度。
(状況は冒険者(仮)側が数的に少し劣勢...このまま
消耗戦になれば間違いなく魔物側の勝ちだな)
『鑑定』
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ホワイト・ウルフ F
状態 空腹 怒り
一体一体はそれ程強く無いが、
常に群れを成している。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
魔物の強さを鑑定し、
俺は木の上から冒険者(仮)に尋ねるのだった。
「助けがいるか?」
「だ、誰だ!?...出来れば力を貸して欲しい!」
剣を持った、恐らく40代程のリーダー格の
男がこちらを一瞥し、返答した。
「了解だ...『斬鉄、跳躍』」
俺は一気に狼に詰め寄る。
ザシュッ!!
狼の首を剣で一閃。赤い液体が舞い散る。
ホワイト・ウルフの視線が俺に集中する。
地面に着地し、間髪入れずに近くの狼に接近し、
首を刎ねる。
《スキル 着地術を獲得しました》
スキル獲得のお陰か、次は着地とほぼ同時に、
滑らかな動きで次の動作を繰り出せた。
地面を強く蹴り、僅か1歩で近くの敵に接近する。
ザシュッ!!
首を刎ねる。次の敵に迫る。
だが、流石に相手も馬鹿では無いようで、俺が
剣を振る瞬間に後ろから噛み潰そうと飛び掛る。
俺は剣を振る速度を上げ、まず目の前の
ホワイト・ウルフを斬り、右足を軸に、その勢い
のまま回転し、後ろから迫る口に横薙ぎの一太刀を
浴びせる。
そしてまた飛ぶ、斬る、跳ぶ、跳ねる、回転し、
断つ。そんな作業を5回程繰り返した時、
《スキル 剣舞を獲得しました》
一気に俺の動きが流れる様に洗礼された。
敵がおらず、飛び散る物が鮮血では無く花びらなら
間違いなく舞いと言われるであろう動きに。
(俺の動きが舞い判定されたのか?割と判定緩いな)
俺は舞う事に動きが洗礼されていく。
ディアナ様から聞いた話だが、この世界には
スキルレベル等は無いが、熟練度と言うものがある
らしく、スキルを使う程スキルの効果が上昇
するのだそう。俺の【天賦の才】は熟練度にも
作用するらしい。
そして辺りが紅く染まり上がった頃、その舞は
終幕した。
「大丈夫か?」
俺は唖然としている冒険者達に尋ねる。
「あ、ああ。大丈夫だ。あんた、かなり
強いんだな。助けてくれてありがとよ」
先程のリーダー格の男が礼を告げた。
それに続いて他の仲間たちも感謝の言葉を口に
していった。
「気にするな、ただ通りかかっただけだからな。
それよりも、この近くに街はあるか?」
「通りかかっただけって、流石に何らかしら礼は
するさ。街なら、近くにパラジュリアって街が有るぞ」
「そうか、何か礼をしてくれるってなら、
その街に案内してくれ」
「あんた...お人好し過ぎないか?あんたがそれで
良いなら俺達としては有難いけどよ。...あぁ、
そういえば自己紹介がまだだったな。
俺はラッカス。
主にパラジュリアで活動してるEランク冒険者だ」
「俺は碧 悠太。旅人だ。短い間だが、宜しく頼む」
俺達は握手をし、歩き出した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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