EPISODEⅡ 幽かな力
6人で話をして、ここに来た理由を聞いてみる。
人間たちは星を見に来ていたらしい。
「今日、流星群だったからさ!」
「なるほどな。」
今、流れている星は
2人を生み出した母が流していた欠片たちで。
「でも、今日の流れ星めっちゃ綺麗だったよなー!」
「…そう、だね。こんな沢山降るなんて珍しい…。」
その原理を知っている2人は少しだけばつの悪そうな顔をした。
ふと、森の中に目を向ける。
覆い茂った樹木の中から"何か"がこっちを見ていた。
『ぐわぁぁぁあああ!!』
雄叫びのような獣の鳴き声。
人間たちは恐怖に慄く。
静かに、それでいて気魄のある声を放つ。
「おい、立ち去れ。」
「…っ
大きく威嚇する獣を見上げて、強く睨み付ける。
しかしその声も視線も、獣が理解してくれるわけもない。
『ぐぁおぉぉぉおおお!』
同じように鳴いて威嚇を止めない獣。
そして、そいつは
「ゆ、
「…な、なんで、僕…っ?!」
混沌とした状況の中、
赤色に輝く瞳を見開いて、獣の眼を見据えながら。
「…お前、死にたいのか…?」
『ぐ、ぉ…』
冷ややかに突き刺さるような赤い視線。
ただの少年の姿をした
その光景はあまりに異様で、その場の3人も
「きゃぁ…っ!」
少し遠くで、聞き覚えのある声がした。
「
「た、助けて、
地面に座り込んだ
鮮やかな赤色の瞳が、涙の黒に染まった。
2体の獣は溢れ出した黒い液体に蝕まれ、
どろどろと融けるように、ゆっくりと飲み込まれていった。
溶解した塊は、やがて液体へと戻り、
ぐじゅぐじゅと音を立てながら
「…っあ゛ぁ゛!!」
その返還を受けて
瞳の色は赤黒く濁り、口からは黒い液体がぽたぽたと垂れる。
「な…、
それでも1人で助ける方法が無いかと辺りを見渡した。
2体目の獣がいた場所から、青く輝く、小さな光が目に入る。
紫色の雲のような物体がふわふわと
長いツインテールが重力に反して揺らぐ。
「…浄化、しなきゃ。
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