双星の降る世界に煌めきを。
シノイロ。
⋆⸜☾ Prologue 𖤐⡱
とある世界で、ふたつの星が生まれた。
ひとつは可能性へと導き誘い、明るく輝く。
ひとつは死の予兆を操り、幽かに輝く。
一際輝く母なる星が双子として創った星々は、
創造を祝して小さな箱庭を授かった。
優しい微笑みを浮かべた星は双子に向かって呟いた。
「これは君達の箱庭、好きにするといいわ。」
創られた星々は母から授かった小さな箱庭の中に
自分達の管理する世界、天狼星を創った。
その世界は瞬く間に成長を遂げて、
惑星の中には新たな生命体が産声を上げた。
天狼星の創造主である双子の星々は、
その生命体の進化に必要なものを与えて愛で続けた。
幾年、時が経っても、
星々がその生命体に飽きることは無かった。
育まれた生命体は与えられた環境の中で、
其々の文化を築き、繁栄を切り返していく。
そして、意思を持ち始める。
「ねぇボク、天狼星の生命体に会ってみたい…!」
小さな青い物体から紫色の雲を漂わせた星は願う。
「あぁオレも、この目でこの生命体を見たい。」
刺々しい赤い物体から黒い水を滴らせた星は望む。
天狼星に生まれし生命体、"人間"との関わりを。
蒼月と名付けられた明るい星の少女と、
或空と名付けられた幽かな星の少年。
少女の想いを宿すように、人間には可能性が芽生えた。
少年の運命を受け継ぐように、人間には寿命が存在した。
自由に生きることを謳歌する命
美しく儚く散り逝く命。
人間の姿を模した双子の星々は、
その姿に魅了されて、人間界へ降り立つことにした。
そうして、
世界は、天狼星は。
アカシックレコードを基準に廻り出した。
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