被害者ドリーム

ちゃもちょあちゃ

第1話 誰の夢で誰の心?

 学校が終わり放課後がやってくる。校舎裏を歩いていると聞き慣れた声が聞こえた。


 「大好きです!僕と付き合ってください!」


 告白の音だ。チラッと除くと告白されているのは、僕たちの学年で1番可愛い三浦茜だ。三浦はスクールバックを両手でぶら下げて持ち、告白してきた相手の方に視線を向ける。告白している相手は、ちょうど校舎の角で隠れていて、こちらからは震えながら差し出される腕しか見えない。


 三浦に告白するなんてよっぽど自分に自信がある奴だなと思い、告白しているのが誰か確かめたくなった。見える位置まで移動しようと左足を1歩前に出した瞬間に、僕の歩行を否定するように三浦が答える。


 「喜んで!これからよろしくね!」


 三浦は両手に持っていたバックを地面に落として、両手で差し出された手を握る。表情はとてもにこやかで告白された事をすごく喜んでいるようだった。告白を成功させた男子の嬉しそうな声も聞こえる。2人は今日一緒に下校するんだろうな。手は繋ぐのかな。


 告白も成功したようだし、僕はさっさと帰ろうと歩き始める。告白した男を確かめるために、2人に気付かれないように自然に歩いて、横目で確認する。


 「ああ、お前かよ」


 笑顔で喜びながら何かを話す2人を見ていると考えてしまう。


 「両思いだったのかなー」


 瞳が緩くなるのを感じる。涙が頬を流れる前に、瞳に手を当て蓋をする。2人に怪しまれないようにそのまま早歩きで帰宅する。


 「僕も好きだったのに。ずっと好きだったのに。もっと早く告白してれば僕も…」


 涙が出てこなくなる距離を歩いた。何かおかしい。


 「今日家遠いな。もう30分は歩いたぞ?」


 あたりを見渡すと全然知らない場所に居た。あの出来事がショックで知らない道をフラフラ歩いてしまっていたのでだろうか?いくらなんでもそんなミスをするだろうか?僕はそこまでバカじゃないはずだ。1度立ち止まり目を瞑る。これで落ち着こう。


 首に衝撃と痛み、呼吸のしづらさを感じて瞳を開けると、クラスメイトの涼が僕の首に両手を当てて、思い切り首を絞めている。訳が分からなくなり混乱したが、とりあえず声を出す。


 「おい!諒!何だ!?何してんだ!?早く離せっ!?苦しい...だろうが!!」


 涼は僕の声が聞こえていないのか?表情を一切変える事なく首を絞め続ける。全身が経験もしたことがないような感覚に襲われて、飛び起きる。


 「わぁ!!はぁはぁ、夢かぁ〜変な夢だ!何だこれ!?最悪」


 ベッドから飛び起きる。慌てて首に手を当てる。


 「何もないよな!?はぁー最悪過ぎる。何だこれ?学校行きたくねぇー」


 そんな事を言いながら学校に行く準備を始める。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る