第34話
『最近どう?』
「輝斗、すごく楽しそうだよ。少し前までは、すぐにいなくなっちゃいそうで怖かったけど、今は友達もいて楽しそうにやっているよ」
『そう』
そう言うと彼女は他を向いた。
「それよりさぁ!もうすぐ、神に会えるよ‼︎」
『はぁ、あなたは本当に神が好きね』
「勿論だよ‼︎何から何まで完璧なんだよ?どこをとっても美しいし」
『あなたよりも?』
「我よりもよっぱど綺麗だよ。いまの我は角もあるし、翼も黒いし、綺麗とは程遠いよ」
『……あなたは、悪魔にはなりたくなかった?』
我は思わず口篭った。そんなこと考えたことなかった上に、別に悪魔でも天使でもよかったからだ。
「悪魔にならなかったらきっとリリにも出会えてないだろうし、かといって天使だったら今も変わらず毎日神に会えていたんだ……」
『つまり、どっちもどっちってことね』
我はここ最近下界にいることが増えた。人間界にいても、もう輝斗は1人じゃないし、寂しそうでも、悲しそうでもない。我が行っても構ってはくれないし、何より
我がいなくても1人で死んじゃったりしなさそうだから。
だからと言って、取り憑いた事実は戻らない。だから人間界にいる意味もいなく下界で暇を潰してる。我が天使だった頃はもっと忙しかったんだけどなぁ。
『あなたは、なんで輝斗くんに取り憑いたの?』
「光くんのを伝えるためだよ。そのためには取り憑くしかなかったし」
『嘘ね。本当は
そう彼女が小さく呟くのが聞こえたが、我は聞こえないふりをした。
輝斗は輝斗であって
我は光のことを伝えるために取り憑いたんだ。輝斗が
我はなんだか急に彼の顔が見たくなって人間界に戻った。
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