第11話 

「ねぇ、リリ、人は何故死ぬの?」

『またその話?人間界ではそれが当たり前よ。前言ったじゃない。人間界に存在するものはいつか必ずなくなるものなの。植物も動物も、もちろん人間だって』

「……なんで?」

『なんでって言ったって、そうゆう天界と下界の決まりだから、としか言いようがないわ』

「じゃあ、なぜ彼らは自ら死を選ぶの?」

『もしかして、最近話してた光くんのこと?まさか、あの子、死んじゃったの?』

「……うん」

『はぁ、あなたって悪魔は本当に運がついてないわね』

「だから、人間界には行きたくなかったんだ」

『でも、人間界に行ってから楽しそうだったじゃない』

「……うん、まあ、それなりにはね」

『で、これからどうするの?』

「今度は輝斗くんを見ていようかな。嫌われてるかもしれないけど、放っておけないんだ」

『結局、行きたくないとか言っておきながら、行くのね。でもあまり肩入れしすぎないように。私たちに終わりはないけど、彼らには必ず終わりが来る。遅かれ早かれ別れの時が来るわ』

「……まあね」

『それに、そういう話、悪魔としては喜ぶべきことよ。あなたは優しすぎる。人間にも、私たちにも。まあ、こっちにきたばかりっていうこともあるだろうけどね。そろそろ慣れていかないといけないわ』

「やっぱり我にはこの場所は向いてない。じゃあ、また後で」


いずれ終わりが来るのはわかってる。それでも我は人間が好きだ。人間は天界や下界と違って優しさに満ち溢れてる。


我はそんな人間たちをずっとこの目で見ていたい。


そんなことを思いながら我は下界から人間界にまた戻った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る