第10話
お前のせいだぁぁぁぁぁぁ!
僕はうんこに向かって犬のぬいぐるみを投げた
もちろん当たることはなく、通り抜けて壁に大きな音を立ててぶつかった。
うんこは逃げるそぶりもなく、ただただそこにいた。
なんで光なんだ!光じゃなくてもよかっただろ!
そうだ!お前が来たからこんなことになったんだ!お前が来なけりゃ、光はこんなことなってなかった!変な目で見られることも、いじめられることもなかった!
お前のせいだ!お前さえいなければ光は今でも元気にしてるんだ!なんで来た!ここに、光のとこになんで来たんだよ!
全部全部お前が悪い!お前のせいだ!
お前があいつを、光を殺したんだ!
そういうと、うんこはどこかへ消えていった。
違う。
違う、違う違う、違う違う違う違う違う違う。
全部うんこのせいにして。本当に悪いのは僕じゃないか。何かのせいにして。僕はなんて愚かなんだ。
本当は全部知ってた。わかってた。ずっとあいつが悩みを抱えてたことも、リスカしてたことだって知ってる。でもずっと見ないふりをしてきた。僕と光はそんな関係じゃないと思ってたから。相談なんてらしくないと思ったから。いじめだって見ないふりをしてきた。いじめられるのが怖かったから。巻き込まれるのが嫌だったから。
違うだろ。今はそんなこと関係ない。僕はなにも言えなかったんだから。言わなかったんだから。言えばよかった。聞けばよかった。もっと見てればよかった。もっともっと知ろうとすればよかった。
彼に笑顔を常に強制し続けたのも僕だ。あぁ、ごめん光。無理して笑ってたんだよな。僕が強制したから。ごめん、何もできなくて、何も言えなくてごめん。
気づいてたのに、わかってたのに、ごめん。もう今となっては遅い。こんな僕でごめん。ひかる。ひとこと言えなくてごめん。止められなくてごめん。気づいてて何もしないなんて僕はバカだ。僕があいつを、光を殺したんだ、いや、そもそも僕が関わらなければよかったのかもしれない。違う、僕がいなけりゃ、うまれてこなければよかったんだ。あぁ、ごめん。ごめん、ごめんごめん。光、ごめん。どれだけあやまってもおまえにはつたわらないし、むくわれない。ごめん。ごめん、ごめんごめん、ごめんごめんごめんごめんごめんごめん、ごめんごめんごめんごめんごめん、ごめんごめんごめん、
「……ごめん……ひかる……」
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