人類の皆さんへ

クライングフリーマン

人類の皆さんへ

 こんにちは。ビールスです。名前は、本名言うとやばいので、「転んだー9,2」でいいですか?

 おかげさまで、いい仕事出来ました。

 先ず、国際組織の「誰か」さんに取り憑きました。「出世したくないか?有名にならないか?お金儲けしたくないか?」って尋ねたら、「うん。」って答えました。

 それで、砂漠のある国で研究している研究者に取り憑きました。

「やった!これで、特定の民族だけを滅ぼして、奴隷に出来る!!」

 彼らが研究しているビールスに私が混じっただけですけどね。でも、彼らは失敗しました。

 彼らが滅ぼしたい民族は2種類あったんですね。効き目のある種類の人と、そうでない人の。研究者達は殺されました、内緒でね。

 彼らがやった実験は無駄では無かったんですね。1種類は効果があったんだから。

 彼らは、その民族以外で先に実験をしました。まずは、自分達。そして、欧米、アジア、アフリカ。「よく効く」その1種類は、意外にも、その民族以外によく効きました。勿論、『希釈』してあったから、その民族以外の民族は、沢山死んでも皆殺しにはなりませんでした。ここがポイントです。「いつ死ぬか分からない。

 今度は自分か?」人々は「疑心暗鬼」ってやつで他人をあまり信用しなくなりました。

 最後に、研究者の国は、その民族の国に輸出しました。その国の政府もマスコミも、民族を操れる魔法の薬の虜になりました。予防注射と検査で、どんどん私の分身は増えて行きました。

 世界中の国は、恐怖に怯え始めました。ところが、研究者達が狙った国以外の国では、怯えない人々が、途中から増えて行きました。

 そして、「免疫」とかいう、自分自身で作る解毒剤で、高熱やだるさが解消させていきました。

 ところが、面白いことに、研究者達が滅ぼそうとしていた民族は、奇妙な展開を見せ始めました。私の分身が、殆どいなくなったにも関わらず、私を恐れているのです。ジャーナリストと自称する詐欺師達や政治家は、「もっと儲けたい」と思う余り、真実を覆い隠してしまったのです。

「欲望」。ほんの少し、他の国の民族より多いだけで、私が何をしなくても架空の『感染』から自らを守ろうとする、知恵が働かなくなった民族でした。

 これからが、楽しみです。私の仲間が地上に降りて来たら、世界的組織の「誰か」の偉いさんに頼んで広めて行って貰います。

 人類に取って替わる為に。今度は、研究者達に「成功」させてあげましょう。

「転んだー9,2」がお送りしました。島国って、意外と便利ですね。

 ―完―


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

人類の皆さんへ クライングフリーマン @dansan01

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る