運営の安息(6日目)

 

 響の誕生日である6日目、彼が家に帰っている夕方頃。

 いつも騒がしい会議室は異例の静けさを保っていた。



「昨日今日は平和だった……」


「第一サーバーは問題児がなりを潜めていた二日間……いや、こわぁ」

「昨日はおかげで心穏やかにイベントの話つめれたしよかったなぁ」

「…………嵐の前の静けさっすねー」


「「「「「黙れ!!」」」」」



 普段から「っべー」とおちゃらけている男の空気を読まない一言に、冷静な第二サーバー管理者を除いて全員が睨む。



「それで課長、先程イベント担当の方から最終決定がされたとシナリオとシステムに関してのファイルが来てます」


「ほう。早速見てみるか。ふむふむ……む? ぬぬぬ? 特設フィールドでこれをやるのか。正史に反映されないとはいえよりによってあっちの話か……」


「確かにこれなら正史通りにはなる難易度だけど、大団円にはかなりの道程になりそうだしちょうどいいやんけ」

「アルフレッドを倒せてもこの面倒な謎解きがあればそう悪さもできないしな」




 各々が決定した第一回イベントの詳細について語り合う中、課長は管理課としての合意サインを書き――少ししてイベントの詳細が発表された。



 ========

 第一回イベント

 《玉響の王》


 ――これはどんな記録にも残されてない小国の歴史、あるいは世界を侵す闇のはじまり。歴史は変わらないが追憶に身を投じることで得るものもあるはずだ。

 どうか、異なる未来を描いてほしい。



 イベント期間:7月16日~22日

 詳細:イベント期間中に発生するクエストの報酬やログインすることで貰えるイベントコインを集めて豪華報酬と交換できます。是非積極的にイベントシナリオに参加しましょう!


 注意:イベント期間中通常フィールドは時間停止措置が行われます。イベント参加者はあらかじめパーティーを設定しておくことで同じ特設フィールドでイベントに参加することができます。

 イベント中にログインすると自動的に特設フィールドへ移動するのでプレイヤーの皆様にはお手数おかけしますが、事前の設定をお願いいたします。

 ※時間停止措置のため、期間中初ログインされる場合も特設フィールドでの開始になるためご留意ください。

 イベントパーティー上限:10名


 特記事項:

 ・プレイヤー以外にも契約済みのNPCもパーティー編成に組み込むことで参加が可能です。契約関係にないNPCは参加できません。

 ・イベント中、参加するNPCの復活条件をイベントコイン5枚に変更します。

 ・特設フィールドに登場したNPCとは契約できません。また、通常フィールドに記憶は持ち越されませんのでご留意ください。


 ========





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る