呟き怪談

瀬川

さなちゃん



 ――ひみつの話、教えてあげる。




 クラスにさなちゃんっているの。

 さなちゃんはすごく可愛くて、いっつもひらひらしてるから、みんないいなって思ってた。


 でもね、りかこちゃんだけはさなちゃんが大きらいだったの。

 いじわるばっかりして、さなちゃんをどんっておして、お洋服をよごしたこともあった。


 ひどいよね。でもみんなだめって言えなかった。

 言ったら、さなちゃんみたいにいじわるされるから、わたしも言えなかった。こわかった。

 でも言えばよかった。だめだよって。


 あのね、さなちゃん学校に来なくなっちゃった。

 先生はどうしてか聞いたけど、みんなりかこちゃんのことは言わなかった。

 そのまま、さなちゃんはずーっと学校に来てないの。


 家にとじこもったまま。

 りかこちゃんは、さなちゃんにいじわるしてたのに、何も無かったみたいに楽しそうだった。

 ひどいよね。さなちゃんがかわいそう。

 だからバチ? があたって、けがしたり、いやなことばかり起こるようになったんだよ。


 でもね、わたし知ってるの。

 りかこちゃんには教えてあげないけどね。

 クラスに、さなちゃんいるんだよ。

 りかこちゃんと一緒にいるの。

 さなちゃんは、りかこちゃんをゆるさないって。



 ――あは。……ないしょだよ。




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