第55話 お題【伝説の語り部】【流れ着いた】【声】

 そこに伝説の語り部がいる。

 彼は、遠い異国の地から流れ着いたようだ。

 記憶が失われている為、何故この国に来たのかは不明だ。

 透き通るような白皙の肌に、彫刻のように整った肢体。

 輝く月の光を、そのまま映したような髪。

 何よりも、森の泉を思わせるような、深い青みがかった緑色の瞳。

 一度目にすると脳に焼き付いて、いつまでも離れない。

 上品なその口元から流れ出す、朗々とした歌声が、奇岩地帯をなでるように通り過ぎてゆく。

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