ラストシーン

寅次郎

ラストシーン



三浦かのん 22歳




これがわたしの名前。なんかセクシー女優みたいな




名前で、好きになれない。自分の名前嫌いとか、生




まれた時から罰ゲームみたいでなんかつらい。私は




古着屋でバイトをしているフリーター。って言って




も正社員なみのシフト。土日は基本出勤、休みは




まちまち。それに古着屋と言ってもチェーン展開型




の古着屋だから、苦手なアナウンスもしなくちゃな




らいし。ま、これも頑張れるはのはまーくんがいる




から。まーくんとは、そう、わたしの彼氏!ま




ーくんとは一年半前に飲み会で知り合った。最初か




らまーくんは謎めいていた。仕事もわかんないし、




どこに住んでるかも教えてくれなかった。でもそん




な影があるところを好きになっちゃった。完全わた




しの負け。んで付き合うようになって、いつしかわ




たしの部屋で同棲が始まった。まーくんはパチンコ




通いのことを『仕事』と呼んでいた。この日はまー




くんはが仕事で勝った日だった。何故だか夕食




は夏なのに、すき焼きになった。夏と言えばわたし




が思い浮かべるのは、ビー玉が入ったラムネだ。




ビー玉が入ったラムネを最近見なくない?とまーくん



にいつも言ってる気がする。そのたんびに『知らね




ー』って言われて終わり。ま、いいんだけど。




わたしはパチンコはやったことがない。あの店内の




ボリュームが耐えられない。わたしの仕事先に朝番




で一緒になる、佐々木さんと言う26歳の人がい




る。実はその人に告白されたばかりなのだ。明日は



佐々木さんとシフトが同じなのさ。どうしたらいい




かまーくんに聴いてみたら、『関係ないっしょ』




の一言だった。まーくんらしい。翌日、佐々木さん




は大人だった。『こないだはごめんね!気にしない




で』と、さらっと爽やかな笑顔で言われた。き



っと佐々木さんにはもっと好い人がいるはず!と、

  



頷き、自分を納得させた。それから数日後、わたしと



まーくんは喧嘩した。内容はどうってことない、花火



大会に行く約束を中止にさせられたのだ。夏らしいこ



とひとつもしてくれない。なんか同じようなこと去年



もあった気がする。喧嘩したまま、まーくんは家を出



て行った。すぐ帰ってくるだろうと勘ぐっていたが、



予想は外れた。2日経っても帰ってこない。3日目にわ



たしは耐えきれずに佐々木さんに会いに行った。佐々



木さんのお家に行くのは初めてだった。。モノトーン



調で統一された部屋は、なんだか佐々木さんらしい



と思った。佐々木さんはワインを出してくれた。二人



で色んなこと話した。仕事のこと、洋服のこと、将来



のこと、そして恋愛のこと。気がついた頃には、ずい



ぶんと二人でボトルを空けていた。さすがに眠い



。佐々木さんは一緒にベッドはまずいでしよと、ソフ



ァーで寝ると言った。わたしはどこまでも申し訳ない



気持ちでいた。携帯をチェックしてもまーくんから



LINEはない。そのまま寝落ちした。翌日佐々木さん家



を出ると、まだ午前中だと言うのに、強烈な暑さであ



る。焼けそう。家について鍵を開ける。台所のシンク



の灰皿にCOOLの吸殻が溜まってあった。まーくんの



だ。私は冷蔵庫を開けた、






ラムネが2本入っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ラストシーン 寅次郎 @jkrowling

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る