手違い聖女俺、魔王と国づくり

@rintarok

プロローグ

 大理石の床には王座に続く赤いじゅうたんが敷かれ、左右のステンドグラスから差し込む光は大理石を鮮やかに染めていた。天井から吊り下げられた大きなシャンデリアは金色に輝き、シャンデリアにつけられた蝋燭に火はともっていない。


(会社のオフィス三階分くらいはある天井だ……)


 目先で膝をつく女と、その女に向かって武器を構えている仲間の背、豪奢な魔王城の一間へと目を移しながら、栄太は考えていた。


「ネズミのように地上を這いまわる害獣どもが。何代かかろうと、何年かかろうと、貴様ら人間共は、我々が必ず全員滅ぼしてやる」


 羊のような大きな角が生えた黒髪の女――魔王が言った。仲間達は魔王の言葉に鼻で笑ったが、栄太だけはそうしなかった。どうしても気になっていたことが、自然と口をついて出た。


「あなた達はどうして人間たちを滅ぼそうとしたんですか?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る