第28話 虹蛇ユルングの伝承

「ということは」と、村長が口火を切った。

「次に流星群が来るのは、イブハール歴4581年、ちょうど10年後、ということになりますな」と、村長が言った。

「それじゃ間に合わない・・・」と、ファニタがぽつりと言った。

「あなた方の手紙を拝見した通りでは、確かにそのご様子」と、村長。

「だから、この民話集の続きを、お貸しいたしましょう。宿屋でご覧になるといい。何かヒントがあると思いましてな。私がざっと見た限りでは、古い神・虹蛇ユルングの伝承の部分が気になった」と、村長が付箋を指さした。

『よくご存知で、ご老人』と、プラトンが口を開いた。

「!鳥がしゃべった!!」と、村長がびっくりした後、笑いだす。

「あ、あの、これは気にしないでください、魔法で訓練されてるんです・・・」と、ファニタが間を取り繕う。

「そうですか」と、村長が笑う。

「とりあえず、この古文書はお借りします」と、ラインハルトが言った。

「うむ、じっくり調べなさるといい。はて、その鳥は・・・いや、これ以上は聞くまい。わたくしどもは、ほとんどが魔法には通じてないので」と、村長。

「失礼します、村長様。お世話になりました」と、ハルモニア。

「よし、手がかりができた!あとは、そのユルングとかいう虹蛇を探すだけだな!!」と、ハルモニア。

「やったわね、この本さえあれば、そしてプラトンの知恵と合わせれば、なんとかなるかも!!」と、ファニタ。


                    *


「ノア、本当に来ないの」と、ナスターシャが言った。

 ナスターシャは、これから、婚約者・アルヴィンの運転する車で、首都モーリシャスまで長旅に行く予定だった。

 だが、ノアは、あれからすっかり落ち込んでしまい、勤め先にも行かず、ナスターシャとも連絡をあまりとらず、家に引きこもっていた。

「もうヘーゼルは自発呼吸ができないらしい。機械につながれている彼女は、見たくないんだ」と、ノアが言った。

「そう」と、言って、ナスターシャは涙が出てきそうになるのを抑えて言った。

「ならいいわ、後悔しても遅いのよ、ヘーゼルとは婚約したいと言ってたじゃない!ノア、しっかりして!」と、ナスターシャ。

「そうだね」と、ノア。

「だけど、僕はそばにいながら何もできなかった・・・。もう死にたいよ」とノアが言った。

「ノア、あなたも天使の生まれ変わり、って聞いたわ。(その頃には、ノアがナスターシャにも事情を話していた)その話が本当なら、あなたは双子の妹さんの最期を看取る義務があると、私は思うわ」と、最期涙声になって、ナスターシャが言った。

「・・・そうだね、ナスターシャ、君の言うことは正しい」と、ノア。

「おい、もう出発しないと。ノアさん、ここは勇気を出して!」と、アルヴィンが車から降りて言う。

「・・・・」

――ノアの下した決断とは。


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