第25話 お散歩はちょっとずつ……

お散歩が苦手なすだち。

しばらく観察していると、何が嫌なのかわかってきます。


まず、身に着ける類のものが嫌。

一番嫌がったのは首輪。ハーネスも猛烈に抵抗しました。

次点でリード。


意外にも洋服はそんなに嫌がりませんでした。

寒いからか(プードルはもふもふの毛皮に包まれているように見えますがシングルコートといってぶ厚い被毛ではないのです)

それとも初めて買ったのが、ウェルネスウェア(『UNAGE』という犬猫用のウェルネスウェアではお手頃で有名なメーカーさんの洋服)

着ていると温かく心地よいもの、という認識のようです。


あと、日が経つにつれわかってきたのですが、すだちはとにかく耳がいい子だったのです。


保護したばかりの頃は耳が詰まっていたのか、それとも心理的なものなのか、ぼうっとした印象でしたが

今のすだちは、小さな物音にすぐ反応します。

たとえば、父が声を少し荒げるとぶるぶる震えるし、誰かが物を落として大きな音を立てると、ぴゅっといなくなります。

そう。ちょっと臆病すぎるぐらいです。


うちの周りはインバウンドの影響でとにかくスーツケースをがらがら言わせている外国の方が多いのですが、その「がらがら」が苦手みたいです。

あと、自転車や自動車の音に、工事の音も。

子どもたちが間近で立てるはしゃぎ声にも身を固くします。


本当は沢山運動させて筋肉をつけたほうがいいすだち。

公営ドッグランは近所の某公園内にあるので、理想は公園まで一緒にお散歩をして、ドッグランで遊ばせて、帰りもお散歩で帰ってこれたら最高です。


今のところ、キャリーにすだちを入れてドッグランまで連れていき、ドッグランで一通り遊ばせてからまたすだちをキャリーに入れて帰る……という。キャリーを用意する準備も大変ですし、往復がちょっと勿体ないなあ、という、そういう流れになっていました。


ただ、ドッグランにも慣れてきたころ、「公園内の緑道なら、自転車も少ないし、車も来ないし、スーツケースを持っている人も少数だし……もしかしたら、いけるのでは?」と、思い立ち。


思い立ったが吉日。念のためキャリーに積んでいた首輪とリードをすだちに着けて、ドッグランの外(公園内ではある)に下ろしてみました。


そうしたら……案外、けろっと。とことこ歩き出して。


案ずるより産むが易し? いや、ドッグランで犬や人に慣れたのも大きいのかな、なんて思いました。


ただ、公園を出ると、やっぱり駄目でした。ぷるぷる震えながら足を止めてしまいます。


人が少ないところ、緑が多いところ、犬がいるところ、騒音がしないところ、なら歩けるようです。


それでも以前のように狛犬状態でカチンコチンに固まっていた状態から比べたらすごく進化していると思います。


まだ引き取ってから二か月も経ってない、ということを考えれば称賛に値します。


ちょっとずつ、ちょっとずつ。


ゆっくり歩んでいければいいよね。


ね、すだち。

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