第17話 地獄のリハビリ開始

その日の夜から、早速リハビリを開始しました。

すだちの傷ついた左後ろ脚を根元からつかんで、

前方向に100回と後ろ方向に100回。しっかり回してやらなければなりません。


しかし、すだちの脚はいったん切断して、骨と筋肉をつなぎ合わせたようにも見えるほど 傷口が大きく、5回ぐらい回すと途端にいやいやが始まります。

きっととても痛いのでしょう。


それでも心を鬼にして、すだちの左後ろ脚を回します。

もちろん工夫もして、連続して同じ方向ではなく、前に10回、回したら後ろに10回、回す、というようになるべく、すだちの負担にならないようにしました。


すだちが痛みのあまりに逃げようとするので、逃がさないよう保持する人間も必要。

母と二人一組で取り組むことにしました。


「きゅぅーん……くぅーん」


足を回すたび、すだちが、情けない声をあげます。


「ごめんね、痛いよね。でも、歩けるように、走れるようになりたいよね?

ちょっと、我慢だよ」


人間の言葉が通じるかはわかりませんが一生懸命声掛けし、すだちの小さな頭を撫でながら、励まします。


これを毎日、朝晩やるのか、と思うと、すだちもとても辛そうだし、人間であるこちら側も気が滅入ります。


そして、もう一つ困ったこと。


避妊手術をほどこしたお腹と、歩けるよう手術した左後ろ脚の傷口をいたずらしないよう、すだちは動物病院から借りたエリザベスカラーを装着しているのですが、

すだちは体が小さく、そして柔らかいので、エリザベスカラーを超えて、足の傷口を舐めてしまうのです。

舐めるなら、まだしも、縫っているところを歯で、解こうともしてしまう。


見つけ次第注意するのですが、24時間見張っていることは不可能です。


結果……


「これ、傷口開いてるよね……」


何もしていない(エリザベスカラーが功を奏してすだちの口が届かない)お腹の傷口は血が止まっているし、乾いていますが、左後ろ脚の傷口はいつまでも生々しく、いつも血が滴っているような状態です。


「明日、またC動物病院に行ってくるよ」


退院後、一日でまた動物病院か……


私があんまり仕事をしていない状態だからまだ良かったなあ、と思いつつ、

動物を飼うっていうのはこういう大変さもあるよなあ、と再確認したのでした。

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