第11話 また、家にダンジョンができた!

 ニートになった私だったが、家にダンジョンが出来た事で私の生活は安泰どころか裕福になった。

 まぁ違法って所を目を瞑ればの話しだが。

 ユウキはもともと趣味にしていたダンジョン巡りにつぎ込むに加え、武器や防具等を新着させていた。


 「いいか?この服は一見普通に見えるが『ミスリル』って言う非常に軽く、強度も優れてる金属を使っていてだな、それを糸のようにして織り込んだ優れ物でな、そしてこの矢筒は毒薬とか痺れ薬とかを自動で注入してくれる代物でな、あとなんていったて__」


 装備を買う度に目を輝かせながら長たらしい説明をする日々だった。

 正直私は聞き飽きているが...ユウキが幸せならOKです!


 一方ユメは新築の家を建てたり車等を購入したりしていた。


 「いつ仕事が違法だとバレるかわかないから今だけは幸せを感じても良いと思うんだよね」


 なんか理由がめちゃくちゃ暗いけど...でもまぁぶっちゃけ気持ちはわかる。


 「え? お金? もう使って無いよ」

 「えぇ!? あんなにあったお金全部使ったの!?」

 「ダメだな~よっちゃんはあの程度の稼ぎで満足しちゃいけないよ~もっと夢はでっかく見ないと!」

 「いやそんな事聞いてないよ! 一体何に使ったんだよ!」

 「...黙秘権を使います!」


 そう言ったきりミユは何に使っているのか教えてくれなかった。

 一方ヤシロはと言うと...いや、止めとこうなんか触れてはいけない気がするから。

 一方私はと言うともともとブラック企業で働いていたのもあって趣味とかに費やする時間とかが無かった為、何に使って良いのだろうかと頭を悩ましていた。


 「いやまじで何に使おう...ユメのように車でも買おうかな?」


 そんな事を考えながら歩いていると一瞬視界に赤い光のような物がちらつき私はビクッと身構えた。

 この光はパトカー等のランプである事に気がついた。


 「お姉さんちょっといいかな?」


 訪ねられた...背中に冷や汗が溢れ緊張が走った。

 私は声のする方に目線を向けてとそこにはやはりとパトカーがありその中から警察官がニコニコと笑いながら私を呼んでいた。

 怖くもないはずのその警察官の笑顔が妙に恐怖心を煽った。

 私は恐る恐る「な、何でしょうか?」と言うと警察官は降りてきて私の側へと駆けよった。

 も、もしかしてバレた? そんな事が頭に過り、逮捕されるのを覚悟をした。


 「ちょっと訪ねたいんだけど、ここいらで怪しい車とか見てない?」

 「怪しい車...ですか?」

 「そうそう、最近怪しい車が駐停車しているって通報を受けてね」


 逮捕しに来たのではないんだと、私はほっとした。

 私は「見てないですね」と答えると警察官は「そうですか、ご協力ありがとうございます」と言い車に乗りその場を去った。

 パトカーの姿が無くなると緊張の糸が切れたのか一気に疲れがやってきて表情がふにゃふにゃになった。


 「焦ったぁ...もしかしてと思ったけっど、別件だったみたいで良かった~」


 というより怪しい車が駐停車してるって言ってたけど、そんな物見覚えn


 そんな事を考えていながら歩いていると黒いバンが私の真横を通った。

 そのバンは冒険者達をヨウコ達のダンジョンに運送するものだった。


 私は気が付いた...警察が言っていた怪しい車がこれの事だと気付いた。

 あ、なんか急に腹痛が...

__________________


 お腹を擦りながら家に帰ったヨウコはミユとヤシロが作業しているであろう事務所へと行き警察がバンの事を調べている事を伝えようとした。

 しかし中に入ると事務所にはミユの姿は無くパソコンをいじるヤシロだけだった。


 「...あれ? ミユは?」


 そう訪ねるとヤシロは1枚のチラシを渡してきた。

 チラシには競馬と書かれていおり、ミユは競馬場に行っている事を教えてくれた。

 あ、あいつぅ...金が無いって言ってたのはギャンブルとかに使ってんのかよ!

 まぁでもヤシロには伝えておかないといけないよね。

 私は警察が冒険者を運送してくれるバンの事を捜査していた事を話した。

 するとヤシロは親指をグッとたてドヤ顔した。

 問題無いと言いたいのだろうが私はいまいち安心できずにいた。

 というよりお腹が痛いからトイレに行こう。

 

 私はお腹の痛みを抑える為にトイレの中に入ろうとした。


 扉を開けるとまず最初に感じたのは『ヒヤッ』とした肌寒さだった。

 トイレ独特の通気性の良い感じとは異なりどちらかと言えば地下施設にいるような..日の当たりが届かないところにいるような寒気を感じた。

 地面、壁、天井は岩で出来ておりその全貌がわかるように松明が列なった、まるで『炭鉱』のy

 私は思わず扉を閉めた...きっと疲れt


 「いやいやいやいや、前みたいに現実逃避できるほど余裕ないしッ!」


 ヨウコは再び扉を開けて頭をその中に突っ込んだ。


 「また、家にダンジョンが出来たんだけど!?」


 思わず叫んでしまった。私の発した声はダンジョン内に響き渡った。

 かなり焦っていた...ダンジョンが出来た事よりも私の現状にたいしての焦りが大方だった。


 「は、腹がぁ! 腹が痛いって言うのになんでトイレがダンジョンになってんだよ! この腹痛はどう解消すれば良いんだよ!」


 ヨウコの脳内にはあることが浮かんだ。


 ① 近くのコンビニで済ますか


 「ま、間に合わねぇ...近くではあるが行くほど余裕はねぇ...」


 ② 近所の家に借りる


 「で、デメリットしかねぇ...警察が捜査している中で、隣人がトイレを貸してくださいとか言われたろ怪しまれるに決まってるッ!」


 ③ ダンジョン内で済ます


 「ヤダ ヤダ ヤダ そんな事したら人として終わってるッ!?」


 ヨウコは焦った...焦りに焦って、考えて考え続けた結果...


 ヨウコはトイレットペーパーを手に取りダンジョンの中へと入った。

__________________


 しばらくするとヨウコは一回り小さくなったトイレットペーパーを手に持ちダンジョンから出てきた。


 「...失った、私は人として何かを失った気がする」


 ヨウコはテンションが駄々下がりだった...


 「というかどうしよう...また、ダンジョンが出来たけど...」


 今さらながらダンジョンが出来た事にヨウコは頭を悩ました...まずこれをミユ達に伝えるべきなのだろうかと。

 正直伝えたら、またひどい目に合うのでは? とよぎった。


 「ぶっちゃけ伝えたくねぇ...どうにかして隠蔽しt」


 ふとヨウコは隣をチラッと見るとそこには不思議そうにしていらヤシロがいた。


 「うわぁぁぁ!?」


 ヨウコは思わず扉を閉めた。 ヤシロにバレないようにと行動したが、結果的にヤシロはヨウコの行動に不信感を抱き、疑いの眼差しを向けた。


 「な、何でもないよ うん、何も無いよ、トイレの中には何もないよ!」


 焦りもあってか、ヨウコの発言はトイレの中に『何かあった』と報告しており、ヨウコは口にしてからその事に気がついた。

 ヤシロの不信は確信へと代わり立ちふさがるヨウコをどかせようと両手をワナワナしながら徐々に近づいた。


 「く、来るな! 私の側に近づくなぁ!!」


 ヨウコはヤシロに脇腹をくすぐられ膝から崩れ落ち、ヤシロにトイレの中を見せてしまった。

 ヤシロはトイレだった物がダンジョンになっている事に目を見開いて驚いていた。

 ヤシロはそのダンジョンに指をさし『ナニコレ?』と聞いてる素振りをした。


 「トイレ行こうとしたらこうなってたんだよ...ミユとかに伝える?」


 ヤシロにバレてしまった事にもう諦めたヨウコはそう訪ねるとヤシロは腕を組み気難しい表情をした。


 「もしかして今連絡出来ない感じ?」


 そう訪ねるとヤシロは頷いた。


 「じゃあみんなが集まった時に伝える? その時に探索でもする?」


 ヤシロは唸り...しばらく考えだした。

 するとヤシロは走るようなジェスチャーをした。


 「もしかして今すぐ探索するって事?」


 ヤシロは親指をたて答えた。


 「でも、今は私とヤシロしかいないのに探索して大丈夫?」


 ヤシロはカメラを取り出し自信満々な表情をした。


 「いやそっちじゃなくて武力的と言うか...モンスターとか現れた時にどう対象するの? て聞いてるんだけど?」


 そう聞くとヤシロは何処かへと行き、しばらく待っていると大量の荷物とロングソードを持ってきて、ロングソードを渡してきて親指をグッと立てた。


 「お、おお!! ついに私にまともな武器が!」


 今まで包丁とか百均の物とかの情けない武器にたいしてまともな武器にヨウコは感動した。


 「なんだか今なら、どんなモンスターが現れても勝てる気がするよ! よーし! 今回はヤシロとダンジョン探索だ!」


 調子良くなったヨウコはロングソードをかかげ新たなダンジョン内に入ろうとした...


 入った瞬間、ヨウコは腹に強い衝撃を感じた...思いっきり殴られたような...刃物で刺されたような痛みを感じた。

 ヨウコは痛みのある方に目線を向けると毛深く翼が生えた生き物がヨウコの腹を噛みつき、腹から大量の血が溢れだした。


 こ、この展開...前にも見た。

 また私死ぬのかよッ!


 【ダンジョン 炭鉱編】

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