倒産して無職になった私、突如家にダンジョンができた件~これで一発逆転!これで私も億万長者の仲間入りだぜ!~

@kumogawa

第1話 家の中にダンジョンが!

 長年勤めていた会社が倒産した...

 それに気付いたのはいつも通り起床し朝ごはんを作りながら点けていたテレビのニュース番組の報道で事実を知った。


 『◯◯会社が倒産し、その社長である◯◯と秘書の◯◯が夜逃げした模様』


 「ッブー!?」


 黒いジャージ姿の黒髪ロングヘアの女性は思わず口に含んでいた珈琲を吹き出し床にぶちまけてしまった。

 ぶちまけた珈琲を拭こうとはせず慌てて携帯を取り出し会社に連絡した。

 

 何かの間違いだ...きっと私の見間違いに違いない。

 しかし、いくら待てど繋がらなかった。


 「...まじか」


 こうして私こと『ヨウコ』は無職[ニート]になったのだ...

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 ...とある居酒屋


 「ぷっ...あはははwおめでとう今日から無職だねw」


 この人の不幸にたいして爆笑している黒いへそ出しTシャツにデニムショートパンツを履いた金髪のボブショートヘアーをした、こいつの名前は『ミユ』中学以来の付き合いでたまにこうやってちょくちょくあって呑んだりしている。

 今回は私が無職になった事が耳に入りミユから__


 『ニュース見たおw愚痴りたいなら飲みに行こうぜw』


 と煽り口調で誘われたからだ...


 「うるせぇ! 職を転々としている浪人が! 私とたいして変わんねーだろ!」

 「転々とはしてますが働いていますので、働いていないニートと一緒にしないでくれます?」

 ぐ、ぐぬぬぬ...悔しいが何も言い返せない...他のみんなは労いの言葉があったというのに、こいつと来たら馬鹿にしやがる。

 ヨウコは歯を食い縛りながら怒りを抑えた。


 「まぁ...逆に良かったんじゃね? ほら『あのくそブラック会社辞めたい』て愚痴ってたじゃんw」

 「そうだけどッ!次の職が決まってなかったら意味無いじゃん!」


 頭を抱えて項垂れた。それを見てミユは肩をポンと叩き「何とかなるなる」とヘラヘラしながら言った。

 こいつの能天気ぶりが羨ましく感じる。


 「はぁ...私は一体どうしたら」

 「すっげー凹んでて草w 何年働いていいたんだっけ?」

 「...高卒してから7年ぐらい」

 「それだけ長かったら次どうしようってなって当然ちゃ当然か...なんだったら今まで培ったスキルを生かして似たような仕事でもやってみたら?」


 確かにそうした方が無難ではあるけれど...ぶっちゃけもうこんな仕事は懲り懲りよ!

 ヨウコはあからさまに嫌そうな顔をし、それを見てミユは察して「まぁ...何となくわかってた」と呟いた。

 そんな話をしているとふと店にあったテレビで放送している番組が気になった。


 その内容は『近頃若者の間では【ダンジョンに潜ってみた】等の配信が流行っている』であった。


 今から25年程前、突如世界中の住宅の一部が、異空間と繋がる事件が発生した。

 その異空間はこの地球上とは異なり、未知の物質や生物[モンスター]等が溢れた言わゆる『異世界』と繋がった。

 もちろん世界は大混乱して、国はどうにかしてその入り口を塞ぐや破壊等試みるが失敗した。

 そしてなんやかんやと月日が流れると、農業や漁、発掘する者が現れるようになり、仕舞いには今報道されている探索する等の娯楽の1つとして数えられ、ダンジョンがありふれた物へと変わった。


 「...ダンジョンって儲かるのかな?」


 そう呟くと食いつくようにミユがぐっと近づき「そりゃあそうだよ!」と言った。


 「宝の山と言っていいぐらいに資源は豊富、加えて冒険がしたいって言う人に提供すればじゃんじゃんお金が増えるッ...夢が詰まった物がダンジョンだよ!」


 それを聞いたヨウコは目を輝かせた。今まで自分が、してきた辛い会社勤めとは正反対な内容に興味が沸いた。


 「まぁでも国に申請がめんどいと『土地』『物質』とか、あと営業するに至っての税金でぼったくられるけどw」


 私の中の期待という風船が『パァン!』と弾けた。


 「それに自分の敷地内にダンジョンができるならまだしも、土地の購入とかになると...」


 ミユは徐に携帯をいじりだし画面を見せた。

 画面に映る金額を見て絶句し崩れるように項垂れた。


 「もう駄目だ! おしまいだ! これからどうしたら良いんだ~!」

 「まぁまぁ悩んでもしょうがないんだし」


 そう言うとミユは酒の入ったジョッキをヨウコの側によせた。


 「辛い事は酒で忘れようぜ☆」


 ヨウコはそれを見るや直ぐに手に取りグイッと飲み干した。

 あー...なんか全てがどうでもいいな...もうどうにでもなーれ!


 「こうなりゃあ今日はやけ酒じゃあぁぁぁ!!」

 「おっ!よっちゃんの良いとこ、ちょ~と見てみたい♪」


 こうして私とミユは騒がしい夜を過ごした。

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 翌日...


 「...っ...ん?」


 気付いた時には見慣れた風景が目に入る。

 いつの間にか私は自分の家に戻っていた。

 確かあの後、私達は閉店までしこたま飲んでいて...駄目だ二日酔いのせいで頭が回らない。

 頭痛に項垂れながら起き上がると自身に毛布がかけられている事に気がついた。


 辺りを見渡すとビールや酎ハイ等が入ってたであろうアルミ缶が無造作に転がっていた。


 次第に昨日の事が思い出してきた。あの後、私達は飲み足りなくて近くのコンビニで酒とあてを買い宅飲みしたんだった。


 「...あれ? というかミユの奴どこ行った?」


 一緒に飲んでいたであろうミユの姿が無く、ふと机の上にあった紙に目がいった。

 ミユからの書き置きのようだ。


 [近くのコンビニに行ってきま~す♪]


 どうやらミユは昨日同様のコンビニに行ってるみたいだ。よく見ると、この紙はそのレシートだし。

 というかこの荒れた部屋を見た感じめちゃくちゃ騒いでるな...


 「体もベタつくしシャワーでも浴よっと」


 気だるさを感じながら起き上がり、もう使わないであろう毛布を抱え、片付けようと押入へ向かい、その扉を開けた。


 その瞬間、風が吹き私の髪を靡かせた。

 まるで密封された部屋の窓を開け空気の入れ替えでもしたかねような爽やかな気分だ...

 青繁る草木...透き通り煌めく小河...そう、この感じはハイキングだ、幼少期友達と森でキャンプをした思い出が頭に過r


 ヨウコはスッと扉を閉じ、手に持っていた毛布をその場に置いた。


 「幻覚? まだ酔ってるのかな? シャワー浴びて目を覚まさないと」


 ヨウコは酔いを醒ませようと着替えを持ち風呂場へ向かった。

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 「ふぅ~ さっぱりした~♪」


 しばらくしてベタついた身体を洗いながせれたヨウコは赤いジャージにタオルを首に巻き瓶に入った牛乳を手にしながら部屋に戻ってきた。まるでおっさんである。


 「ミユはまだ帰って来てない...あ」


 ふとヨウコは自身がシャワーを浴びる前に片付けようとした毛布に目がいき「そうだった、そうだった」と呟きながら瓶を机に置き、毛布を再び持ち上げた。


 変な物が見えて動揺して先にシャワーにしちゃったけど、ちゃんと片付けないとね~


 ヨウコは扉を開けると風が吹き髪を靡かせた...青繁る草木...透き通り煌めく小河...そう、この感じはハイキンg


 ヨウコはスッと扉を閉じた。

 何が何だかわからないヨウコはしばらく佇んでいた。


 なんだ? なんか森のような物がチラッと見えたんだけど...ここ玄関だったけ?


 ヨウコは自分が開けているのが『玄関なのでは? 』と思ってしまい確かめるべく辺りを見渡した。


 いや、押入だな、うん、どう見たって押入だ、というか仮に玄関だったとしても家の外にあんな青繁った森なんてない。


 ヨウコは恐る恐る扉を開けた。

 開けるとやはりそこは青繁った森だった。


 「なんじゃこりゃああああ!?」


 ヨウコが叫んだ直ぐに玄関から「え、何!?」とミユの声がした。

 ヨウコは慌ててミユのもとへ向かった。

 玄関に行くと急いで靴を脱ごうとしているミユの姿があり、その手にはコンビニで買った物を持っていた。

 ヨウコがやって来た事に気づいたミユは「なんか騒がしかったけど、どしたん?」と尋ねた。


 「あ...ありのまま今、起こった事を話すぜ! 私は毛布を片付けようと押入を開けたら、そこは森だった...な、何を言ってるのか、わからねーと思うが私も何がおこったのかわからなかった。頭がどうにかなりそうだった...催眠術だとか幻覚だとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ...もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ...」

 「いや、まじで何言ってるか全然わかんないんだけど?」

 「と、ともかくこっちに来て見てみてよ!」


 言われるままに連れられたミユは押入の中が森になっていると言う目を疑う光景を目の当たりにした。

 『ガサッ』という音ともに買っていたコンビニ袋を落とし「お、おい...まじかよ」と声が震えていた。


 「これ『ダンジョン』じゃあねぇか!」

 「だ、ダンジョン!? これがあの?」


 ヨウコは目を見開き驚いた。そしてダンジョンが自分の家に出来た事に嬉しさと興奮が溢れだした。

 ヨウコ今後の事を話そうとしたが、その前にミユが目を輝かせながらヨウコの両手を握った。


 『一儲けしようぜ! お前ん家のダンジョンで!』

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